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部下を叱るべき時とは

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上司は、部下を叱れなくてはならない。そう教わる。実際、叱るべき時に部下を叱れないようでは、部下はこう思うだろう。

「この人は甘い人だな」
「まあ、多少のことは大目に見てもらえるだろう」

つまり「ナメられてしまう」ということだ。上司はナメられたらおしまいだ。発信に説得力を感じてもらえず、上司が部下に流されていてはマネジメントしようにもできず、成果も見込めない。

つまり「叱れない上司」は「ダメ上司」だ。

だが「叱りすぎ」もまた問題がある。

叱られて嬉しい人はまずいないし、上司が叱責ばかりしていては部下の士気にも関わる。それは要するに「イヤな上司」だ。イヤな上司には人はついてこない。

これでは叱らない上司と同様に成果を見込めないだろう。

だから「叱ること」には絶妙のさじ加減が必要である。

また、本質的には「上司が、いつ、なぜ、どのように叱るか」は部下の行動の判断基準ともなり、マネジメントを突き詰めると、「叱ること」に注意を払わざるをえない。

そこで今回は「部下を叱るべき時」とはどのような時かについて検証する。

 

1.「叱る」は「望ましくない行為への戒め」であり、一貫性が重要。

「叱る」という行為は何を目的とするのだろうか。

もちろん様々な目的があるが、改めて良く考えると、”上司が考える「望ましくない行動・考え方」を取ってしまった人への戒め”という意味合いが強いのではないだろうか。

法律違反をすれば、法律にて罰される。校則違反をすれば、処分を受ける。

それらと同じように、「叱る」という行為は上司の中にある「判断基準」があり、それに違反したということを伝える目的で行われる。

ただし、その判断基準は常に明確になっているわけではない。時には上司の判断基準が外部に示されていない時もある。ありがちなのが上司が「常識だ」と思っている事柄などだ。

この「常識」というやつが最も厄介で、上司と部下のすれ違いを生みやすい。

そして本質的に部下にとって最もストレスなのは、この基準が示されないまま、

「なぜ叱られるのかわからない」
「いつ叱られるかわからない」

ことが続く状態だ。

「良かれと思ったのに叱られた」
「突然意味もわからず叱られた」

は、もっとも上司への信頼感を失う出来事だ。

だが、叱られても「基準」がしっかりと提示され、再発防止の策が合意できれば、

「あ、これはダメだな」
「これをしたら上司に叱られるな」

が徐々に身についてくる。

そうすれば、叱られたとしても納得感は失われない。叱るときには判断基準を提示する。そうした「一貫性」のある上司は逆に信頼される。

 

2.叱るべきシーンと、話し合うべきシーンの違い

そうなると、「一貫性」が保たれなければならない時が、「叱るべき時」となる。

「前に示した基準に違反した」
「合意した内容に反した」

などは、叱るべきシーンだ。

逆に言えば基準が不在の時にいきなり叱るのはご法度、といえよう。基準が共有されていない場合には、まずは話し合いで状況を把握すべきだ。

例えばこんなシーンだ。いきなり叱られれば、部下は不満を持つ。

「おい、この提案書全くなってないぞ、これはなんだ。」
「……先週の打ち合わせ通りに仕上げていますが……」
「この提案は、お客さんにとってメリットが感じられないだろう」
「……(いやいや、この前の会議ではそんな話ではなかった)はい。申し訳ありません……」
「書き直しだ!」
「承知しました。書き直しの指針を頂きたいのですが……」
「お客さんの方を向いている提案にしろ、ってことだよ」
「……(ぜんぜんわかんないよ)……はい。」
「ダメだったら、何回でも書き直しだからな。」
「……(アホくさ)……」

いきなり叱るのではなく、基準を明らかにすれば、逆に下のようになる。

「おい、この提案書全くなってないぞ、これはなんだ。」
「……先週の打ち合わせ通りに仕上げていますが……」
「うーん。打ち合わせの議事録あるか?」
「はい。こちらです。」
「……なるほど。多分ここが誤解のもとだな。」
「それもありますが、特長を出そうという話が出たので。」
「わかった。悪いんだけど、直して欲しい。」
「どのように直しますか?」
「1つは方針に従って、2つ目は数値を使って欲しい。」
「わかりました。」
「よろしくな。」

お互いの基準を明らかにするだけで、やり取りは随分スムーズになる。

 

3.すぐに叱るべきシーンとは

世の中には様々な人がいる。だから「常識」は本当のところ、ほとんど共有されていない。

だから、上司はできるだけ明確な判断基準を示し、組織を率いることが重要だ。上司の気分一つで叱られることが常態化している組織は長続きしない。

とはいえ、どんな場合でも一貫性を保つべき時、原則はある。以下のシーンにおいては、明らかに相手の話を聴くべきときとは言えない。基準がかなり明確だからだ。

 

手抜き

明らかな仕事の手抜きについては、きっちり叱らなくてはいけないことが多い。
手抜きが許される職場では、社員が成果を軽視し、マネジメントを侮るようになるからだ。

 

真摯さの欠如

人を侮辱したり、意図的に嘘をついたりするような人、身勝手な行為は、叱るべきだ。
これは道徳観念の問題であり、判断基準の問題ではない。

 

約束を破ること

ビジネスは信用と約束が全てである。約束が守れないことに対しては厳罰で望まなければならない。
約束を守らない人は、働くことはできない。

 

ルール違反

明示されたルールに違反することは会社ではしてはいけない行為だ。
組織は手続きとルールがあるからこそ成り立つ。
手続きやルールを無視したいなら、一人で働くか許可を取ること。それは教えなければならない。

世の中には「特に明文化されてはいないが、やらなければならないこと」があるのも事実だ。

だから、「必ず叱るべきタイミング」は小学校の教室に飾られていたような

「正直」
「誠実」
「努力」

に違反した時だ。逆にこれ以外であれば、相手の話を聞いてから叱るのでも遅くない。

 

この記事を書いた人
安達裕哉
経営・人事・ITコンサルタント。ティネクト株式会社代表取締役。世界4大会計事務所の1つである、Deloitteに入社し、12年間経営コンサルティングに従事する。1000社以上の大企業、中小企業にIT・人事のアドバイザリーサービスを提供し、8000人以上のビジネスパーソンに会う。自身の運営するブログ「Books&Apps」は月間PV数150万以上。
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