「組織風土」を改革するためには、どうすれば良いか?

「組織風土」や「社風」という言葉がある。「経営理念」などと並び、経営陣や管理職、そして社員の方々の行動様式をある程度決めているものの一つは、この「組織風土」である。

行動や意思決定、採用活動などの根幹に係る部分であるため、改革を起こしたい経営者や管理職によっては、「組織風土」から変えていなければいけないと熱心に働きかける方も数多くいる。

だが「組織風土」を変化させることはそれなりに難しい。それは、「組織風土」が何によって出来上がっているのかを見極めることが難しいからだ。

改革するためには、「組織風土」を生み出しているものそのものにアプローチし、変える必要がある。経営者がいくら「チャレンジをする組織風土にしよう」と言っても、根本要因が変わらなければ「組織風土」は変化しない。

今回は「組織風土」を生み出しているものが何かを明らかにし、改革するためには何に対してアプローチすれば良いかを考察する。

 

1.組織風土を決定する6つの要因

組織風土は、大別すると「経営者」と「事業内容」「制度」に起因する。より詳細に言えば、

経営者…①経営者の言動
事業内容…②事業の成長性、③事業環境
制度…④責任・権限の与え方、⑤人事評価の項目、⑥教育の方法

これらが、社員の行動や意思決定の礎となり、風土を創りだす。したがって、組織風土を変えるには6つの要因にアプローチしなければならない。

 

①経営者の言動

経営者が行ったことは、全体に影響する。

例えば、経営者が約束を反故にするような人物だった場合、社員もそれを非難されるべき行動とみなさなくなる。

また、経営者が金銭的な公私混同をしている場合、社員も経費などに関して公私混同をする傾向になる。

実際、「社員があいさつしない」と嘆く経営者は多いが、それは、自分自身が挨拶を行っていない可能性が高い。逆に経営者が挨拶を欠かさなかったり、礼儀正しかったりすれば、それに応じて社員もそれを重んじる風土が出来上がる。

経営者が率先して辛い仕事を行えば、社員も辛い仕事を率先して行うようになる。

このように、経営者の言動は風土と密接な関わりがある。風土を変えるには、まず経営者が変わる必要がある。

 

②事業の成長性

業界が停滞していたり、規制が強く競争の度合いが低い場合は、保守的な風土となりがちである。逆に業界が伸び盛りで、チャンスが無数にある場合、会社は進歩的な風土となる。

ある規制の強い業界にいる会社では、社長が保守的な風土を改革するために敢えて新規事業に乗り出していた。「安定しているけれど、成長の無い業界にいる場合は、外から破壊的なプレーヤーが入ってきた時に弱いから」と、その経営者は述べていた。

事業を変えれば、風土が変わるのである。

 

③事業環境

官公庁の外郭団体や、官公庁からの受注が多い企業など、自分たちの努力で変えられない「予算」を中心に動く組織は、作業をこなすだけになりがちである。

一方で「売上は自分たちの努力次第」の企業は攻め気の強い会社になる。「予算」による安定的な売上は魅力的だが、進歩的な会社にしたいのであれば、あえて「不安定さ」を受け入れることも重要である。

 

④責任・権限の与え方

上意下達型か、ボトムアップ型かで風土は大きく変わる。

一般的には組織が大きくなるほど、責任と権限が複雑化、多重階層化するために、上意下達型の組織になりがちである。

大きな組織をボトムアップ型に変えるためには、かつてGEのジャック・ウェルチや日産のカルロス・ゴーンが「クロス・ファンクショナル・チーム」で行ったように、組織を少ユニットに分割し、それぞれの意見を吸い上げる必要がある。

 

⑤人事評価の項目

人事評価において、「何を評価の項目とするか」は社員に多大な影響を与える。

人事評価の一般的な項目は成果、能力、知識、考え方などであるが、それぞれ重視するものにより風土が変化する。

例えば成果の配分が大きい組織においてはより短期指向の組織となるのに対し、能力や知識の配分が比較的大きい会社においては長期指向の組織となる。

また、経営理念などへの賛同の度合いなどを評価に盛り込む企業もあるが、これは多様性を重視するかどうかに影響がある。

評価が加点方式か減点方式かによっても、チャレンジできる風土となるかどうかが大きく左右される。

 

⑥教育の方法

社員の教育の方法も風土に影響がある。大別すれば、教育重視、放任主義、マニュアル化重視の3つである。

教育重視の会社では人間関係が密になりやすく、コミュニケーションが活発となるが、コミュニケーションコストは高い。

放任主義の会社では人間関係は疎となり、コミュニケーションコストは低いが、ノウハウが伝承しにくく、属人的な会社となる。

コミュニケーションコストを低く抑えつつ、ノウハウを会社に残そうとする試みがマニュアル化だが、行き過ぎれば人を軽視する会社となる。

どの風土も一長一短だが、行う業務の内容により使い分ける必要がある。

 

2.まとめ

組織風土は複合的な要因によって成り立つ。したがって、「これだけ変えれば」という簡単な方法ではうまく変化を起こすことはできない。

それぞれの施策が整合性を保ち、相補的に機能してこそ、組織風土の変化がもたらされるのである。

 

この記事を書いた人
安達裕哉
経営・人事・ITコンサルタント。ティネクト株式会社代表取締役。世界4大会計事務所の1つである、Deloitteに入社し、12年間経営コンサルティングに従事する。1000社以上の大企業、中小企業にIT・人事のアドバイザリーサービスを提供し、8000人以上のビジネスパーソンに会う。自身の運営するブログ「Books&Apps」は月間PV数150万以上。
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