人材育成のポイント ~上司自身の成長速度~

こんにちは、株式会社PISのブログからお届けしています。こちらは「人材育成を基本から学びたい」と思っている管理職向けの基本シリーズとして書いています。

※過去の記事
人材育成のポイント ~育成の役割分担編~
人材育成のポイント ~育成ターゲット編~
人材育成のポイント ~育成計画編~
人材育成のポイント ~育成のタイミング・場所・場面編①~
人材育成のポイント ~育成のタイミング・場所・場面編②~
 
 
管理職研修で、部下育成について話し合うときに、よくさせて頂く質問があります。

「上司である皆さんは、ご自身の成長速度を何で測っていますか?」

大体の参加者は呆気にとられます。とても基本的な問いかけですが、部下育成に囚われるがあまり、ご自身の成長について考えることを忘れしまっているのかもしれません。

そこで今回は、上司自身の成長速度について考えていきます。

1.上司の仕事とは何か

「上司の仕事は何か」という、より根本的な問いに答えることで、上司自身の成長についての解を得ることができます。どの会社にも当てはまりそうな一般的な定義は以下のようなものでしょうか。

上司の仕事は、部下育成を通じてチーム全体の成果を出すこと

つまり、部下の成長=上司の成長、部下の成果=上司の成果です。部下が成長しているか、部下が成果を出しているかで、上司の成長速度を測ることができます。

部下の手柄を取り上げる上司はここがわかっていません。取り上げるまでもなく、部下の手柄は、上司の手柄なのです。

部下の愚痴を言う上司もここがわかっていません。部下が駄目だと言っているのは、自分の成長が止まっていることを、声高に宣言しているようなものです。

優秀な部下がついたら、上司としてはアンラッキーなのです。確かにチーム全体の成果は出やすいかもしれませんが、育てる余地が少ないからです。最初から、上司の成長機会が半分存在しないのと同じです。

駄目な部下がついたら、上司としてはラッキーなのです。成長機会が沢山あることになるからです。「うわー、この部下、厳しいなー」という部下が自分のチームにアサインされたら、「よし!かかってこい!」ぐらいの気持ちになれるかどうか。

優秀な管理職になることができるかどうか。部下が自チームにアサインされたときのリアクションが勝負どころになってきます。

 

2.部下はどういう上司についてくるか

今度は部下目線で考えてみます。

上司自身の成長速度を測っていない状態で、部下育成を行っている状態を乱暴に言い変えると、以下のようになります。

「俺(私)は成長しているかどうかわからんけど、お前は成長しろ。」

かなり不誠実な状態と言えそうです。

成長していない上司に部下はついてきません。逆に、すごいスピードで成長している上司がいるとしたら、どうでしょうか。部下も必死についていくのではないでしょうか。

成長速度で部下を上回る。人材育成の第一歩です。

 

3.気になる会社からの評価

少し角度を変えて、気になる会社からの評価について考えてみます。サラリーマンであれば、会社の評価から逃れることは難しいですよね。

以下のケースで会社はどの管理職に高い評価を与えるでしょうか。

ケース1:駄目な部下ばかりであっても、チーム全体の成果を出すことができる管理職
ケース2:優秀な部下ばかりであれば、チーム全体の成果を出すことができる管理職
ケース3:駄目な部下ばかりなので、奮闘むなしくチーム全体の成果が出せていない管理職
ケース4:優秀な部下ばかりなのに、チーム全体の成果が出せていない管理職

恐らく、ケース1→ケース2→ケース3→ケース4の評価順になるのではないでしょうか。

ケース1、ケース4の評価順は異論がないとして、議論の余地があるのはケース2とケース3。ケース3をより高く評価できる会社があれば、それは素晴らしい会社ですが、なかなか理想通りにはいかないでしょう。どんなに部下育成を頑張ってくれたとしても、成果が出ていないチームばかりでは、会社が倒産していまう可能性すらあります。

管理職としては、会社は本音と建前が違う!という気持ちになってしまいそうなところです。

管理職になりたての頃は、このジレンマを上手く飲み込むことができません。しかし、このジレンマを解消していくのは優秀な管理職の仕事なのです。管理職として、ケース3になるリスクを冒してケース1を目指すのか、ケース2を目指すのか。

言い変えれば、部下の成長=上司自身の成長、という考えをとるのか、とらないのか。

部下を悪く言う管理職は、最初からケース2という低い目標に向かっているに過ぎません。ずっと、優秀な部下ばかりが自チームにアサインされれば平穏無事なビジネスライフを送ることができますが、現実はそうなりません。

理由は至ってシンプルです。会社は優秀な人材を、優秀な管理職に預けます。何故なら、優秀な人材にもっと成長してもらい、会社全体の成果を出していく必要があるからです。優秀な人材を、駄目な管理職につけてしまうと、人材がモチベーションを失ったり、最悪のケースでは退職するリスクもあります。よって、一番評価が高い、ケース1の管理職に優秀な人材を預ける可能性が高いです。

このように考えていくと、最初からケース2を目指すのは、会社としても、管理職自身としても、とても筋が悪いことではないでしょうか。

優秀な人材ばかりを採用すれば、こうしたことは考えなくても良いという話があります。しかし、優秀・劣等、成果が出ている・出ていないというのは、相対的なものなので、優秀な人ばかり採用できる会社であっても、ケース1からケース4は存在するのです。どの会社にいても、先のジレンマと戦う宿命にあるのではないでしょうか。

部下の成長=上司の成長という公式は、どの会社でも避けて通れないものです。

 

4.部下に上司自身の成長をアピールする

人材育成をしていると、どうしても部下の目標や課題に話が集中しがちです。しかし、上司自身の成長を部下に感じてもらい、ついていきたいと思ってもらうことも大切なことです。

「あなた(部下)の課題はコミュニケーション力です。特に傾聴に課題があります。」
「最近、自分(上司)のコミュニケーション力のなさを痛感していて勉強し直しているんだ。傾聴が特にできていないので、傾聴の本を読んだんだけど、色々気づきがあったよ。」

どちらの上司が人材育成を上手に進めることができそうでしょうか。課題を指摘することは重要なことですが、そればかりでは息が詰まりますよね。

 

5.まとめ

リーダーシップ、マネジメント、イノベーション、ダイバーシティ…色々な横文字がセミナーや書物を彩ります。時流に乗ることは大切なことですが、人材育成をもっと基本的なところから見直してみるのも、ときとして大切なのではないでしょうか。

 

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