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管理職が演じるべき7つの役割

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組織で働いていると「役割」という言葉が良くでてくる。管理職の役割、中堅社員の役割、プロジェクトリーダーの役割など、様々な立場にいる者に対して、役割が課される。

ところで、この「役割」とは何を意味しているのであろうか。

それは、「演じるべきもの」であると定義できる。

映画では、ヒーロー役、ヒロイン役や悪役が登場する。ヒーローが悪役を倒しヒロインを助けるから、ストーリーとして成り立つ。全員が悪役では映画として成立しない。全員がヒロイン役では、誰も引き立たない。脇役がいるから、ヒロインが目立つ。

管理職も同様であり、「組織」という舞台で演じるべき、役の1つである。

素の状態で舞台に上がってはならない。スティーブ・ジョブズがアップルの商品発表会で、「あー、腰いてぇー。」「あー、今日は飲みに行きたいなぁー。」と言っていたら、皆しらけるだろう。

役を引き受けることが、管理職の第一歩である。

立派な管理職になることも大切かもしれないが、まずは管理職を演じるところから始める。若手俳優が舞台に立ち続けることによって実力をつけていくように、演じながら実力を磨いていくのである。

しかし、いざ演じてみると管理職は案外難しい。なぜなら、果たすべき役割が1つではないからである。

組織や部下の状態によっていくつかの役を使い分ける必要が出てくる。それは以下の7つである。

  1. 伝道者
  2. 支援者
  3. 統率者
  4. 管理者
  5. 指導者
  6. 決定者
  7. 人格者

1~3は、リーダーシップに関するもので、4~6はマネジメントに関するもの、7は人の上に立つものとしての使命である。

今回はそれを書いていく。

管理職の役割

1.伝道者

組織が目指すべき方向性を示し、皆を率いる役割を担う。組織が方向性を見失っているときには、特に重要な役割となる。

成果主義、利益主義が横行する今、伝道者を正しく演じることの重要性は増すばかりで、東芝やVW(フォルクスワーゲン)をはじめ多くの企業が、不正によってこれまでに築いてきたポジションを失っていることからもその重要性がわかる。

コンプライアンスやガバナンスなど、横文字を並べたところで不正はなくならない。管理職1人ひとりが伝道者としての役割を果たすことが重要だ。

伝道者としての基本的アクションは以下の通り。
※内在化:自分の事として考えるという意味

分類 アクション
実践 経営理念を実践する
実践 経営理念に基づいて、判断を行う
共有 経営理念を部下と共に語り合う
共有 部下の価値観・こだわりを理解する
共有 常に仕事の目的を示す
共有 話がわかりやすい
内在化 チームの理念を示す
内在化 自分の信念を持ち、示す
内在化 実体験をもとに、自分の言葉で話す
内在化 経営理念に沿って動くよう、部下に促す

 

2.支援者

部下に限らず、上司、他部署のメンバーなど組織メンバーを支援する役割を担う。「気配り」や「伴走」が鍵であり、人間関係が希薄になっているときには、特に重要な役割となる。

仕事の専門化・高度化が進む今、同じ部署のメンバーであっても簡単には口出しできないようになってきており、「支援」のあり方はよく考えなければいけないテーマとなってきた。

また、人口減少により社員の獲得競争が激化しており、社員に強さ、成果を求めるだけでは、人が採れなくなってきている。「昭和」対「平成」で人を色分けする時代はとっくに終わっているのである。

支援者としての基本的アクションは以下の通り。

分類 アクション
気配り 公私両面において、困っていることがないか、気にかける
気配り 部下のことを良く知る
気配り 部下の意見や気持ちを受け止める
気配り 部下に労いの言葉をかける
伴走 仕事上のトラブルを一緒に解決する
伴走 部下がキャパオーバーになっているときは、自分が代わりにやる
伴走 部下のキャリア開発を一緒に考える
伴走 部下が周囲から攻撃されているとき、一緒に矢面に立つ
気配り 部下を追い詰めない
伴走 部下が社内人脈を形成できるよう、架け橋となる

 

3.統率者

組織を一つにまとめ上げ、メンバーを鼓舞する役割を担う。「チームビルディング」や「モチベーション」などに精通する必要がある。

プロジェクト単位で動き、集合、解散を繰り返す働き方が主流となってきた今、素早く組織を作り上げることは、管理職に限らず必須の役割となってきている。

統率者としての基本的アクションは以下の通り。

分類 アクション
チーム 部下の強み・弱みに基づいて、役割分担を行う
チーム 指示・命令系統を明確にする
チーム 楽しく、明るい職場を作る
チーム 自信に満ちている
チーム 目標は最後まで諦めない
意欲 称賛に値する言動を、褒め、認めている
意欲 部下に提案するよう促し、提案を採用する
意欲 誰にでも公平に接する
意欲 部下と行動、時間を共にする
率先 新しいアイデアを出し、チャレンジする

 

4.管理者

メンバーに仕事を「やらせきる」役割を担う。やりきらなければ成果が出ることはないため、「やりきり」は管理職の役割の中でも大きな意味を持つ。

メンバーのモチベーションが低いときがあるかもしれない。組織の戦略が定まらないことがあるかもしれない。しかし如何なる時も、「やりきり」だけは徹底しなければならない。

やらなければ活路を見いだせないことが多いため、困っているときこそ、やりきりが組織浮上の鍵となってくる。

管理者としての基本的アクションは以下の通り。

分類 アクション
PLAN チームの目標を立てる
PLAN チームの行動計画を立てる
率先 自分自身も決めたことを、やりきる
DO 決めたことを、やりきるよう、部下に要求する
DO 報連相のやり方を共有する
DO 報連相を徹底するよう、周囲に要求する
DO 計画通り進んでいないとき、軌道修正を行う
CHECK やりっ放しにせず、結果を確認する
CHECK 結果だけではなく、プロセスを検証する
ACTION 目標や計画の振り返りを行い、次にいかす

 

5.指導者

メンバーに仕事の仕方を教える役割を担う。管理職に求められる役割において、もっともポピュラーなものの1つであるが、当たり前になっているものこそ、深く考えておく必要がある。

例えば、メンバーをよく観察すること。

教え方、褒め方、叱り方などのハウツーに焦点が当たりがちだが、一番重要なのはメンバーの動きをよく「観察」することである。観察し実態を把握しなければ、適切な指導はできない。

今の時代、プレーイングマネージャーが多いため、管理職も自分の業務で忙しく、部下をよく観察する時間がとれていない。しかし、適切な指導は観察から始まる。

管理職が観察なしに指導することは、医者が問診せずに手術を行うようなものだ。

また、教えるべき仕事には大きく2つあり、1つ目は「専門スキル」であり、2つ目は仕事全般において必要となる「段取りの仕方」である。

指導者としての基本的アクションは以下の通り。

分類 アクション
率先 高いレベルで仕事をやって見せる
観察 部下の仕事ぶりを自分の目で確認する
観察 部下のレベル、個性に合わせて、仕事を任せる
教育 専門知識、専門スキルを教える
教育 段取りの仕方を教える
観察 部下の理解度を確認する
観察 答えを教えるだけでなく、部下に考えさせるようにする
観察 良い点、悪い点の両面をフィードバックする
教育 部下に期待をかける
率先 自分自身が新しいことを学び、成長する

 

6.決定者

読んで字の如し、意思決定、判断を行うことがその役割である。

管理職が演じるべき役割の中で、もっとも難しい役割であろう。決断、判断には大きな勇気が必要となる。

しかし、判断を保留して結果が出ないより、判断して結果が出ないほうが学びが多い。そして、判断しない管理職にメンバーはついてこない。

決断を下した場合のデメリットより、決断しない場合のデメリットのほうが大きい、このことを知っていれば自ずと決断を下せるはずだ。

決定者としての基本的アクションは以下の通り。

分類 アクション
判断 判断を保留せず、明確に判断する
判断 判断のもとになる理由・基準を明確にする
判断 適切な判断が下せるよう、社内外から広く情報収集する
判断 会社が下した判断を、自分の言葉で説明する
判断 判断が間違えていた場合は、きちんと謝罪する
評価 部下に遠慮せず、はっきりと部下を評価する
評価 好き嫌いに関係なく、客観的に部下を評価する
評価 過去の情報ではなく、今の情報で部下を評価する
評価 評価のもととなる理由・基準を明確にする
評価 評価を上げるために何が必要か、説明する

 

7.人格者

人格を役割とすることに違和感があるかもしれない。しかし、人格は全ての役割の基本となるものであり、人の上に立つ者が、必ず向き合うべきテーマである。

管理職は部下に好かれる必要はない。しかし、人として尊敬はされなければならない。

完璧な人間などいないから、どのような管理職であっても足りないスキルはあるだろう。だからこそ、基本となる人格についてはよく考えておく必要がある。

指導の仕方が下手であっても、管理の仕方が下手であっても、メンバーがついていく管理職がいる。それは信頼に他ならない。

人格者としての基本的アクションは、それぞれが考えるべきであるが、一例を載せておく。

信念を持つ、約束を守る、感謝の気持ちを示す、間違えたら謝罪する、相手の気持ちに立つ、一貫性を持つ、規律を守る、誰にでも公平に接する、困っている人を助ける、最後まで責任を持つ、有言実行、人の話を聞く、謙虚な気持ちを持つなど。

 

■.まとめ

○○スキル、●●力など、何でもスキルや力をつけるのが今の流行りだ。中には鈍感力なんていう本まで出てくる始末だ。

スキルは必要なものだが、それより前に役割がくる。

映画やドラマには「名脇役」が欠かせないが、脇役であることを明確に意識しているからこそ、良い演技ができる。間違って主役の台詞をとってしまっては、演技が成り立たない。

脇役に必要なスキルと、主役に必要なスキルも異なるだろう。脇役に徹底してスキルが磨いたから、名脇役として名を馳せる俳優が存在する。

ここで書いた7つの役割は一例である。

大切なことは、今の組織において成果を最大化するために、「管理職として演じるべき役割」を自問することである。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。
 
・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/wataru.nakagawa.18(フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします)
 

この記事を書いた人
中川 渉
株式会社PIS(ピース) 代表取締役。石川県金沢市生まれ。大阪大学工学部を卒業。㈱日本エルシーエーに入社し、住宅不動産のコンサルタント、研修事業の事業部長、執行役員を務める。㈱SPRIXに転職し、ヒューマンリソース部長、コンテンツ開発部長、新規事業室長を務める。2013年に株式会社PISを設立し、管理職研修を中心に年間150~200回の研修講師を担当する。
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