仕事の優先度の本質とは何か。期間と難易度で分類すべし。

生産性高く働く上で重要なのは、「仕事の細分化」と「仕事の優先度づけ」であることは、多くの人々の意見の一致を見るところだろう。

仕事の細分化は目標を明確にし、とりかかる時のハードルを下げることで、仕事の質とスピードを上げる効果があり、仕事の優先度付けは仕事の重要度を意識させることで、納期順守や生産性の向上が見込める。

いずれも、仕事を行う上では欠かせない要素である。

だが、細分化も優先度付けも、慣れるまではそれなりの修練を必要とする技術であり、一朝一夕に身につけられるものではない。また、「仕事に対してはだれでも一言持っている」ため、語られていることも玉石混交である。

今回は、そういったことを踏まえ、「仕事の優先度づけの原則」について考察する。

■ 重要度と緊急度のウソ

例えば、仕事の優先度付けにおいて、「重要度と緊急度」のマトリクスを作り、1.重要で緊急 2.重要で非緊急 3.緊急で非重要の順で優先度をつける、というノウハウがまことしやかに語られているがこれは本当なのだろうか。

結論から言うと、「重要度と緊急度」で仕事を優先度づけすることはあまりお勧めではない。

それは以下のような理由による。

現実的には、重要度と緊急度で仕事を分類できない
なぜなら緊急=重要と、殆どの人が認識しているからである。

緊急の仕事が発生している時点で、実はダメな仕事の仕方である
緊急の仕事は、事故であり、事故の対処は常に最優先となる。この場合大事なのは「緊急の仕事をどう発生させないか」「再発防止をどのように行うか」である

以上のような理由から、結局のところ、仕事の順序は「重要度」でしか決定できない。成果への貢献、納期や仕事の難易度を総合的に考えた結果出てくるものが、「重要度」であり、仕事に順序をつけることのできる判断基準である。

 

■ 重要な仕事とはなにか

では「仕事の重要度」は具体的にどのように決めればよいのか。最初に考えるべきは「重要な仕事とは何か」である。これは当たり前の問いであるが、普段から真剣に考えることは少ないだろう。

皆さんはどうお考えだろうか?

いろいろな回答があると思うが、最も多くの方の賛同を得るのが、重要な仕事=成果を生み出す仕事 であろう。成果につながらなければ、どんな仕事であっても正当化はできない。従って、「成果を生み出す仕事」しか行ってはならない。

その上で、仕事の優先度を決めるのは「成果を出すまでの猶予期間」と「成果を出すための難易度」の2つ要素である。おすすめは、この2つでマトリクスを作ることだ。

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例えば、

「頼まれ仕事」は、どこに入るか。これは難易度も期間も短いので左下。

「メディアの立ち上げ」「新規事業立ち上げ」「教育」などは、難易度が高く、時間もかかるので右上。

「マニュアルの訂正」「ちょっとした改善提案」は、左上。

「クレーム対応」は、右下である。

 

毎日コツコツゾーン

猶予期間が長く、難易度が高い仕事は、毎日コツコツやらなければならない、一番継続するのが難しい仕事だ。これをコツコツやり続けられるかどうかで、長期的な成果が大きく変化する仕事でもある。

 

先に時間を確保ゾーン

難易度が低いとタカをくくり、先送りにしているとあっという間に猶予が無くなるケースが多い仕事である。

このゾーンの仕事はとにかく先に時間を確保して、前倒しで進めてしまえば信頼される。逆にこの仕事をしくじると、著しく信頼を失うので大切にしたいゾーンの仕事である。

 

事故対応ゾーン

難易度が高く、猶予が著しく短い、いわば【事故】のような仕事である。

この仕事が多くなる時は、一度仕事のやり方、進め方を見直す必要がある。この仕事は原則的に少なければ少ないほどよいと考えるべきだ。

また、上司は原則としてこのような仕事を部下に投げず、自分でまずはこなさなくてはならない。

 

頼まれ仕事ゾーン

基本的に人から頼まれた仕事はこのゾーンに入る。「今日中にできる?」や「明日までにお願い」などの定型的、作業的仕事である。

この仕事が多くを占めている時、あなたは基本的に「指示待ち」の仕事をしていると考えてよい。やらなくてはいけないが、これに振り回されているようではダメだ。

 

■ まとめ

もちろん優先すべきは【毎日コツコツゾーン】の仕事である。結局のところ難易度が高く、長期にわたって努力を要求される仕事をやりきったかどうかで、仕事のクオリティの大半は決まる。

従来の緊急度、重要度も悪くはないのだが、どうもしっくりこない方には、上のような指標をぜひお試しいただければと思う。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。