本嫌いを克服し、読書習慣を身に付ける方法

読書が苦手な人にとって、「本を読め!」と言われるのは、嫌いな食べ物を「鼻をつまんで食べろ!」と言われているに等しく、親切心が単なる強制に聞こえるものです。

本当に嫌いな食べ物は、臭いを嗅ぐだけでも嫌だったりします。

こう考えると、母親というのは偉大なもので、私に嫌いな野菜があると、大好物であるカレーに入れて慣れさせ、少し慣れてきたらまた別の料理に入れるなど、工夫をしてくれました。

好きなものを軸にピボットターンしていくというやり方です。

ピボットターンを読書嫌いにも適用できないか。それが本記事の狙いです。

実のところ、今では読書習慣がある人でも、その全てが最初から本好きだったわけではありません。何かしらのきっかけで読書ができるようになったという人も多いのです。

かくいう私も、今では年間80~100冊ぐらいの本を読みますが、社会人になるまでに読んだ活字の本はたったの3冊で、そのうちの2冊は読書感想文を提出するために嫌々読んだものです。

たった一冊の本との出会い。

学生時代に流行った「パラサイトイブ」というSF小説を友人にすすめられたことがきっかけで、本に対する抵抗がなくなりました。たまたまですが、私にとって読みやすい文体で、ストーリーも興味が持てるものだったのです。

その後、SF小説 → ミステリー小説 → 偉人の自伝 → ビジネス書 → …といった推移を経て、今に至ります。

これを偶然ではなく、意図を持って展開していく方法を考察してみたいと思います。

 

本の要素や、周辺要素を洗い出す

ピボットターンの軸足となるのは「好き」「興味がある」という感情です。

本に関係する「好き」「興味がある」という感情を探しやすくするために、本や周辺要素を分解して考えていきます。

それは、以下の5点です。

  1. 作者
  2. ジャンル
  3. 推薦者
  4. 本以外のインプット方法
  5. 逸話

注意したいのは、「好きな作者を探してみたら?」「なんでも良いから、読みやすいジャンルから始めたら?」といったざっくりとした助言に従っても上手くいかないことです。

ある程度の読書量をこなさないと、好きな作風やジャンルがわからないからです。

「好き」を軸にして、丁寧にピボットターンを回していく、これが大切です。

それでは、以下、切り口ごとに見ていきます。

 

ピボットターンの回し方

1.好きな人が本を書いていないか調べる

読書が苦手なわけですから、好きな作者など選びようがありません。「村上春樹いいよ。」と言われても読んだことがなければピンとこないわけです。

ですから好きな作者を探すのではなく、好きな人が本を書いていないか、逆引きで考えます。

今の時代、出版のハードルはかなり下がっており、様々な人が本を書いています。好きな人を探す軸はいろいろあって良いでしょう。

  • 好きな芸能人
  • 好きなスポーツ選手
  • 好きな経営者
  • 友人・知人
  • 良く読むブログの執筆者

例えば、明石家さんまが好きだ、という人なら、さんまが本を書いていないか調べて手にとってみる。

きゃりーぱみゅぱみゅのブログは欠かさずチェックしている、という人ならamazonで検索してみる。

(両名とも本を出版していることがわかります。)

何冊か手にとってみるとわかりますが、本人の経験談を交えて、その人の考え方や意見、助言などが書いてあることも多く、テレビで見る印象とは違った面が理解できて、案外面白いものです。

注意すべきは、さんま→ビジネス書といきなり飛躍せず、しばらくは好きな人が書いた本だけ読み、活字に慣れていくことです。

好きな人を列挙するところから始めましょう。

 

2.好きなジャンルから入る

例えばサッカー好きで、日本代表を応援しているのであれば、長谷部選手が書いた本から入る。

長谷部 → 長友 → 内田 → ザッケローニ → オシム → トルシエ → フローラン・ダバディー(トルシエ監督時代の通訳)→…

長谷部や日本代表を軸に、少しずつピボットターンをしていきます。

ジャンルから入るメリットは、読める本が多いということです。サッカー関連の書籍は、海外の選手・監督・チームまで目を向ければ、膨大にあります。

単なる娯楽本もあるかもしれませんが、チーム運営、練習の仕方、心構え、マーケティング方法など仕事に直結する内容も数多く存在しています。

長谷部→ビジネス書といきなり飛躍してはいけませんが、色々な考え方に触れるために、ちょっとずつで良いのでターンしていくと良いでしょう。

最初のジャンルは何でも良いと思います。旅、アパレル、お酒。どのジャンルでも第一人者の自伝や、ハウツーもの、専門書が存在するはずです。

 

3.好きな人に推薦書を聞く

上司や人事部から「この本を読んだほうがいいよ」と言われると、最初から仕事のための読書になってしまい、なかなか前向きになれません。

であれば、最初から仕事を目的にしない、というのも一つの手です。

好きな人と仲良くなるために、推薦書を聞いてみる。尊敬する人物、これから関係を築いていきたい人物でもいいです。

ただし、教えてもらったら必ず読むべきです。

 

4.本以外のインプット方法から入る

本は読みたくないけど、詳しく知りたいことはある。そんなときは、必ずしも本から入る必要はないでしょう。

例えば、自然栽培に関心があるのであれば、

  1. 映画版の「奇跡のりんご」
  2. TV版の「奇跡のりんご」(プロフェッショナル 仕事の流儀)
  3. 書籍版の「奇跡のりんご」

というステップを踏むことが可能ですし、安土桃山時代に関心があるのであれば、漫画から入り、

  1. センゴク(漫画)
  2. 桶狭間戦記(漫画)
  3. 国盗り物語(小説)
  4. 竜馬がゆく(小説)

に発展していくという流れもあります。

映像や漫画を通じて、事前知識を得ているため、活字を読む負荷が下がります。そして強い興味を持つことができれば、漫画だけでは物足りなくなり、より情報量が多い本に対する興味が湧いてきます。

映像や漫画と比較した場合の、本の強みは、圧倒的な情報量の多さにあり、映画好きや、漫画好きであっても活字を読むのはこうした背景があります。

 

5.本や作者に関する逸話から入る

ナポレオン・ヒルが書いた「思考は現実化する」という本があります。

参考になるから読んだほうがいいよ、と言われてもピンと来ないと思いますが、出版に関する逸話が面白いです。

アンドリュー・カーネギーという鉄鋼で財を成した大富豪がいた。

その成功哲学をまとめ、後世に残したいと考えた。

その成功哲学が本物であることを証明するためには、既に成功している人間だけではなく、これから成功するであろう人間をリストアップし、実際に成功するか検証する必要があると考えた。

後付けでは駄目であると。

高齢である彼は、誰かにその事業を託そうと考えた。

ただし、託す相手に3つの条件を求めた。

  • 成功哲学が本物なら、託した人間も成功するはず。よって、資金援助はしない。
  • まだ成功していない人たちを観察するには20年ぐらいかかる。その覚悟が必要。
  • 成功者に必要なのは即断であるから、この話をしたときに1分以内に決断できる人間でなければならない。

数百人という人間に声をかけ、1分以内に即決できた人物。それがナポレオンヒルであり、「思考は現実化する」を出版し、彼も財を成した。(今日までに8,000万部売れている)

カーネギーが託したリストに記載されていた名前は、

  • ヘンリー・フォード
  • トーマス・エジソン
  • J・D・ロックフェラー
  • グラハム・ベル
  • ウィルバー・ライト(ライト兄弟)
  • キング・ジレット
  • セオドア・ルーズベルト 等

本や作者には逸話が残っていることも多く、興味を持つきっかけになることがあります。

 

まとめ

好きなもの、受け入れやすいものを軸にピボットターンを繰り返すというやり方は、読書に限らず応用がききます。

苦手なものを克服しなければいけない状況に追い込まれたら、ピボットターンを試してみてはいかがでしょうか。

 
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