人事制度構築ー等級制度

等級制度とは?

等級制度では、各社員に期待する役割(職責)を明確にしていきます。役割とは「責任の範囲」と「責任の程度」で決まるものです。社長を例にすると、責任範囲は会社全体で、責任の程度は決算数字や株価ということになります。

では、部長の役割は何か、課長の役割は何か、それらの2者の具体的な違いは何か?を定めたものが等級制度です。
 

 

役割が大きく異なれば、「評価」「賃金」「必要とされる能力(教育の仕方)」も大きく異なるため、等級制度は人事制度の根幹をなすパーツです。

社長と新入社員とでは、「役割」「評価」「賃金」「能力」が異なることは誰でもわかります。では、部長と副部長では違いが明確か?部長と次長の違いは明確か?次長と課長の違いは明確か?等級制度はこれらの問いに対してすべて明確に答える必要があります。

もっと言えば、そもそも副部長や次長は今の組織体制上、本当に必要なのか明確にしていきます。

人事制度を設計していく上で、これらの問いは極めて基本的な問いですが、等級制度の内容が曖昧、形式的になっている会社は珍しくありません。役割=責任が曖昧であれば、権限=指示命令系統も曖昧になりがちです。

責任と権限が曖昧な会社ほど、等級制度について真剣に検討する必要があります。
 

等級と役職

等級と役職は分ける必要はありません。対社内=等級、対社外=役職、ぐらいの使い分けです。

どちらかの呼び方に統一してしまえば良いのですが、名刺に6等級と書いてあっても社外の人からすると意味がわかりませんし、かと言って、新入社員に役職名をつけるのも違和感があるため併用されているのでしょう。

問題は、等級と役職が完全一致しないケースです。例えば、4等級の部長もいれば、5等級の部長もいるというケースです。同じ部長ですから等級を分ける必要はないのですが、部長というポストがなくても、等級は上がる(給与が上がる)、といった摩訶不思議な制度(職能資格制度と呼ばれます)が日本では長く運用されてきました。
 

 
本来等級は役割を決めるものなのですが、モチベーションを上げるための手段として等級を活用したのが職能資格制度です。これはこれで良くできた制度でモチベーションを上げるには好都合なのですが、役割が曖昧になるという大きな欠点を持っています。

役割が曖昧であるため、等級を上げるとき(給与を上げるとき)は簡単なのですが、等級を下げるとき(給与を下げるとき)の説明が難しいです。大した根拠もなく給与を上げてしまうと、後々が大変になるということです。実際に多くの大企業では人件費が高騰し、職能資格制度を廃止するケースが相次いでいます。

役割が曖昧=責任と権限が曖昧になってしまう原因であるため、制度改訂をするときには職能資格制度は廃止し、等級と役職は原則一致させるべきでしょう。

 

等級数と組織階層

等級数を決めるときに考えなければならないのは、組織図との整合性です。組織図が4階層であれば、等級は4つが妥当です。階層数と等級数が異なると指示命令系統が曖昧になります。

 

組織のサイズにもよりますが、等級数は少ないほうが良いです。例えば30等級もあると、24等級と25等級の違いを明確に説明することが難しくなり、結果的に役割の違いも明示できなくなります。

また階層が多いと意思決定スピードが遅くなるため、可能な限りフラットな設計を志向すべきでしょう。

 

役割の定義

等級ごとに役割を定義する際、以下のような文章だけではわかりにくいです。

S2等級の役割:上位者の概要指示に従い、主体的に創意工夫しながら職務に取り組み、個人成果と職務遂行結果に責任を負う。
S3等級の役割:実務レベルの判断を行いながら自律的に成果を上げ、上位者を補佐する者として組織成果と職務遂行結果に責任を負う。

役割は、「責任の範囲」と「責任の程度」の積で表現されますから、図にすると以下のようになります。文章にまとめると同時に、全社員に役割の理解を促すために、図で表現していきます。