目標の達成度合いを賞与の査定に用いる企業は多い。
なぜなら経営者には、「目標を達成し、大きな成果を出した社員には賞与で報いたい」という気持ちがあるからだ。社員としても、成果に見合った賞与を期待することだろう。
公平な査定を行うために、社員には目標の定量化が求められるが、間接部門の社員からは「目標の定量化が難しい」という声が聞こえてくる。
直接部門のように、顧客や商品・サービスに直接関わっていないため、「売上、利益、生産高のようなわかりやすい定量的な目標が思いつかない」というのが間接部門の本音のようだ。
弊社のクライアントでも、ここでつまづくケースが多く、目標管理(MBO)を有効なツールとして使えるか否かの分岐点になっているように感じている。
そこで本記事では、これまでのコンサルティングから得られた知見をもとに、間接部門の目標設定のあるべき姿について解説する。本記事を読めば、間接部門の目標設定に前向きに取り組めるようになるだろう。
1.業務特性と目標設定
間接部門の目標設定が難しい理由は、その業務特性にある。特性を理解しておくことで、適切な目標設定が可能になるため、まずは業務特性を整理しておく。
どの部門にも、定型業務と、高度な企画業務がある。
例えば、定型業務は、人事なら給与計算、経理なら仕訳入力、総務なら備品発注などだ。企画業務は、人事なら人事制度改定、経理なら金融機関との交渉、総務なら本社移転などだ。
部門 | 定型業務 | 企画業務 |
---|---|---|
人事 | 給与計算 | 人事制度の構築 |
経理 | 仕訳入力 | 金融機関との折衝、関係構築 |
総務 | 備品発注 | 本社移転による採用力強化 |
労務 | 契約書レビュー | 訴訟リスクの低減 |
情報システム | PC設定 | アプリ導入による生産性向上 |
定型、企画それぞれの視点で目標を立てると、どうなるか。
例えば、人事の定型業務である「給与計算」に関する目標は、以下のようなものになるだろう。
・ミスを減らす(Q:クオリティー)
・早く処理する(C:コスト)
・納期を守る(D:デリバリー)
人事に限らず、定型業務に関する目標は、QCDに集約されるのではないかと思う。
目標として間違っているわけではないが、どれだけ給与計算を早く、正確に、納期通り仕上げたところで、業績に与える影響は小さい。
そのため、経営者の多くは、こうした定型業務の目標達成を称賛することはあっても、高い評価を与えることはない。
やはり高い評価を得やすいのは、企画業務に関する目標ではないか。
例えば、人事の企画業務である「人事制度改定」に関する目標は、以下のようなものになるだろう。
・優秀な社員の採用増加
・社員定着率の向上
優秀な社員が採用でき、定着してくれれば、業績に与える影響は大きい。よって、高い評価が得られる可能性が高い。
部門 | 企画業務 | 成果 |
---|---|---|
人事 | 人事制度の構築 | エンゲージメントの向上 |
経理 | 金融機関との折衝、関係構築 | 資金調達 |
総務 | 本社移転による採用力強化 | 採用数向上 |
労務 | 訴訟リスクの低減 | コストの低減 |
情報システム | アプリ導入による生産性向上 | 生産性の向上 |
このように整理していけば、高い評価を得たければ、企画業務に関連した目標設定をすればよいことがわかる。
実は間接部門の社員たちも、定型業務の目標だけではちょっと物足りないことに薄々気づいており、あれこれ考えてはいるのだが、それでも目標がうまく出てこず、悶々とした気持ちになっているのである。
わかっていてもできないのは、なぜだろうか。
2.間接部門で目標設定が難しい理由
➀定型業務のボリュームが多い、実施が必須である
間接部門の定型業務は、その実施が必須であるものが多い。例えば、給与計算を実施しなければ1カ月で大問題になる。
一方で、直接部門の定型業務には、1カ月ぐらい放置しても大きな問題にならないものが結構ある。例えば、営業における「顧客情報の登録作業」などだ。長期的に放置すれば問題になるが、短期的にはごまかせる。
また、間接部門の定型業務はボリュームが多い。例えば、経理における仕訳入力、月次決算などは、それなりに時間を要する。
必須でボリュームが多い。
さらに言えば、一般的に間接部門は人員が少ない。直間比率が10%前後の会社も珍しくない。社員1人あたりの業務量が多い傾向にあるのだ。
間接部門の社員としては、「業務時間の多くを割いている定型業務を評価して欲しい」という気持ちになったり、企画業務に時間を避けない現状がある。
したがって、企画業務に目を向けるためには、定型業務を外注するか、システム導入などで効率化するか、社員を増員するか、何かしら手を打つことが好ましいだろう。
②企画業務の経験が少ない、難易度が高い
間接部門の企画業務は、その実施頻度が低いため、経験が積みにくいものがある。
例えば、総務における「本社移転プロジェクト」だ。本社移転は上手くやれば採用力の向上やブランド力の向上が見込めるため、業績インパクトが大きい。
しかし、本社移転などそうそうあるものではないため、職歴が長くならないと経験値が積めず、計画が上手くつくれなかったり、目標達成イメージが持ちにくい。
また、難易度が高いケースも多い。
例えば、経理における「金融機関との折衝」。業績堅調で財務状態がよければ、借入、社債発行などは比較的容易かもしれないが、そうでない場合は、自社のビジネス、財務諸表に精通した上で事業計画についてプレゼンテーションする必要があり、それなりに難易度が高い業務と言える。
中小企業では、経理には荷が重く、経営者が行っているケースも多いのではないだろうか。
経験が少なく、難しいのだ。
したがって、企画業務に目を向けるためには、普段から企画業務に慣れ親しむよう働きかけを行うことや、チャレンジしやすい環境づくりが必要になるだろう。
3.間接部門に目標設定は必要か
こうした背景がある中で、企業によっては、間接部門の目標設定をあきらめてしまったり、定型業務の目標に終始しているため、達成してもあまり高い評価を与えないケースもある。
具体的には、間接部門の賞与は全員一律で2カ月と決めたり、大幅な目標達成をしてもあまり賞与額が増えない評価にするのである。
これらも1つのやり方ではあると思う。
しかし、定型業務をどんなに一生懸命やっても、業績が飛躍的に伸びることはない。定型業務を一切評価しないというわけではないが、やはり企画業務にチャレンジし、強い間接部門を育てていくことが、業績向上につながるのではないだろうか。
事実、安定的・継続的に成長している企業の間接部門は強いことが多い。
では、強い間接部門を持つ企業は、どうやって目標を見出しているのだろうか。
4.目標を見出す方法
➀業務の目的を明確にする
目の前にある業務がなぜ、何のためにあるのか。Whyを繰り返し、業務の目的を明確にしていくことで業績につながる目標を見出すことができる。
経理の「仕訳入力」で考えてみる。
仕訳入力
↓ Why
月次決算 Why →予実管理 Why →予算達成
↓ Why
決算
↓ Why
信用獲得
↓ Why
資金調達
↓ Why
投資
↓ Why
業績
定型業務も、次の何かしらの業務のために存在するため、Whyを重ねていくと、より高次の目的を意識することができるようになる。
それぞれの目的に応じた目標を考えることで、定量化は完成する。
目的 | 目標 |
---|---|
仕訳入力 | QCD |
月次決算 | 決算の短縮化 |
予実達成 | 予算達成率 |
決算 | 何かしらの財務指標の改善 |
信用獲得 | 調査機関の評点 |
資金調達 | 調達額、調達コスト低減 |
投資 | 投資額 |
顧客満足 | 顧客満足度アンケートの向上、リピート率 |
業績 | 売上、営業利益 |
※赤字部分が目標例
上記では簡易的に少量を例示したが、より網羅的に考えていけば、多くの目標を見出すことができる。他部門との連携、外部との連携などを考慮に入れて洗い出せば、より多くの示唆が得られるだろう。
すべての業務は、最終的に業績につながるはずなので、目標は業績向上でもかまわない、と個人的には考えている。
しかし、あまりにも普段の業務内容からステップが遠く、実感が持てない、という社員もいるだろう。
その場合は、まずは普段の業務内容から1つWhyを重ねて、目標を検討してはどうか。
例えば、仕訳入力をしている社員なら、1つステップアップして、月次決算の短縮化や、予算達成率の向上を目標にしてみるとよいと思う。
②自らの役割を定義する
➀のやり方で、多くの間接部門は目標を洗い出すことができるが、例外となる部門がある。それは総務だ。
人事、経理、法務、情報システムといった部門は、メインとなる業務がある程度確立されている。
一方、総務はその名の通り、すべてをつとめる部門であり、具体的に言えば、他部門がやらないことをカバーするのが業務だ。
例えば、法務部がない場合は総務が法務を兼任することになる。その時点で2部門の目標を持たなければいけないことになる。
また、パンデミックの対応、災害対応、本社移転、周年行事など突発的・一時的な業務が多いのも総務の特徴である。
このように業務が流動的である場合は、業務内容に合わせて、都度目標が変わる印象を持つかもしれない。しかし、目標設定を上手に行っている総務は、そうしていない。
自らの役割を意識して、業務内容を能動的に解釈し、目標を設定している。
例えば、本社移転プロジェクトについて考えてみる。
社長の鶴の一声で本社移転が決まると、どうしても受動的にプロジェクトを捉えてしまい、「計画通りにきちんと進めよう」といった納期目標をイメージしがちだ。これでは定型業務の目標設定とあまり変わらない。
そうでなく、例えば総務が自らの役割を「会社のブランド向上」と認識していたとする。その場合の目標は「採用数の向上」「商品の問い合わせ増加」になる。
(実際に、本社移転の目的は、採用ブランディングであることが多い。)
そして、採用数を伸ばすためには、どこに移転し、どのような設えにする必要があるかを計画、実践するのである。単に納期を守る、という総務とは一線を画した働きができるようになる。
このように、業務内容が何であれ、役割がきちんと固定されていれば、役割に沿った目標を見出すことは難しくないはずだ。
尚、役割から目標を見出す方法は、新設された部門で目標設定する場合にも活用できるだろう。
※赤字部分が目標例
参考までに、間接部門のよくある役割について10個の例を挙げておく。
- 生産性向上
- 社員満足度向上(エンゲージメントの向上)
- 全社のコストダウン
- 経営陣への提言
- 社員の啓蒙
- リスクヘッジ
- 外部パートナーとの関係構築
- 環境変化の対応(法律、社会、経済、技術)
- ブランディング
- トラブル・災害対応
5.良い目標設定と悪い目標設定
次に、目標設定について、良い事例・悪い事例を記載する。すべて実例だ。
目標設定の仕方によって、行動の仕方が変わるイメージをもって欲しい。
良い目標設定
社債発行額を目標に動く経理課長
ある企業では、経理課長が投資家に向けて説明会を行い、社債発行により数千億円規模の資金調達を行っている。その企業のほぼ全管理職に対して研修を行う機会を得たが、経理が一番プレゼン上手だった。
予算達成率を目標に動く経理社員
ある企業では、経理が予算達成にコミットしている。
その企業では、月末にほんの少し経費を浮かせば予算達成ができそうなときに、経理から各部長に電話がかかってくる。「今月の予算達成はこのままいけばちょっと危ない。月末の出張を来月に延期すれば、何とか達成できそうだけど、何とかできないか。」といったアラームを経理が鳴らしてくれるのだ。
ちょっとしたことかもしれないが、このやりとりを毎月やっているので、この企業は達成癖があり強い。
社員の出社率を目標に動く総務社員
リモートワークは便利だが、あまりにも出社率が下がると、若手育成、アイデア創出、コミュニケーションなどがやりにくくなると言われている。
週3の出社を義務付ける企業も出てきているが、リモートワークの快適さに慣れた社員からは反発も出ているようだ。
そこである企業の総務は、本社の改装をきっかけに、社員が思わず出社したくなるようなスペース、設備、イベントを企画し、主体的な出社を促している。他社とコラボするためのスペースもあり、社内外のコミュニケーションが促進されている。
悪い目標設定
手段を目標にしてしまう
「勉強会を行う」「セミナーに出る」など、手段を目標にしてしまうケースがある。「セミナー参加数」など数とか率をつければ定量的な目標のように感じるかもしれないが、それは手段である。
目標達成率ではなく、手段実施数、手段実施率だ。
実施率を100%にするのは容易であり、直接部門の社員と比較して目標が低すぎることになる。成果につながるかどうかも、よくわからない。
システムやツールの導入を目標にしてしまう
システムやツールの導入も手段でありプロセスだ。かつコストもかかる。よって、成果(パフォーマンス)がなければいけない。
システム導入によって、生産性が変わるとか、業務効率が上がるとか、情報漏洩が減るとか、何かしらの成果を出すべきだ。
導入自体を目標にしてしまうと、コストをかけたシステム導入が失敗に終わっても、目標は達成してしまい高評価を得てしまう可能性がある。それでいいわけはないが、システム導入が成果を生まないケースは結構あるので注意が必要だ。
QCDにこだわり過ぎてしまい、新しいチャレンジをしない
新しいことをしたり、新しいやり方を試せば、当然、ミスをする確率は上がる。それを知る社員の一部はミスを恐れてチャレンジしなくなってしまう。毎年同じことをやっているだけでは、いつかライバルに負けてしまう。
納期を100%守ろうとするあまり、仕事量を増やしたがらない社員がいる。少量の仕事を完璧にこなすことに、一体どれほどの意味があるのか。
QCDのみに焦点を当てるのは、あまり筋がよい目標設定とは言えない。
6.各部門の指標例
最後に、間接部門の指標例を挙げる。
より多くの指標を知りたい場合は、目標管理用・KPI辞典を確認して欲しい。
人事部の指標
指標名 | 計算式 | 意味 |
---|---|---|
育児休業取得率 | (育児休業取得人数 ÷ 出産した本人または配偶者の人数) × 100 | 多様な人材の確保を目的とする。 |
痛手となる自発的離職率 | (一定期間中の痛手となった離職者数 ÷ 一定期間中の平均従業員数) × 100 | 痛手となる自発的離職の度合いを測る。 |
エンゲージメント/満足度/コミットメント | 従業員サーベイに基づく平均スコア | 組織に対するコミットメント度合いを測る。 |
カテゴリー別の研修受講率 | (カテゴリー毎の受講従業員数 ÷ 総従業員数) × 100 | 職種や役割に応じて、適した研修を受けているかを測る。 |
幹部候補の準備度 | (即時継承可能な後継者候補数 ÷ 重要ポスト数) × 100 | 組織内で、重要ポストに対する後継者を育成できているかを測る。 |
健康・安全研修の受講割合 | (健康・安全研修を受講した従業員数 ÷ 総従業員数) × 100 | 健康・安全に関する知識の習得度合いを測る。 |
採用数 | 応募数 × 通過率 | 採用数を増やす。 |
採用にかかる時間 | (オファー受入日 - 募集開始日)の各ポストの和 ÷ 採用ポスト数 | 採用の効率を測る。 |
従業員のコンピテンシーレート | 各従業員のコンピテンシーレートの総和 ÷ 評価された従業員数 | 従業員のコンピテンシー達成度合いを測る。 |
従業員の定着率 | 100 - 離職率 | 労働力をどれだけ定着させられているかを測る指標。 |
女性管理職比率 | (女性管理職数 ÷ 総管理職数) × 100 | ダイバーシティ&インクルージョンを目的とする。 |
懲戒処分の種類と件数 | 懲戒処分の総数とカテゴリー別の内訳を示した表 | 懲戒処分が発生した原因を分析し、解決につなげる。 |
提訴された苦情の種類と件数 | 期間中に提起された苦情の総数とカテゴリー別の内訳を示した表 | 苦情が発生した原因を分析し、解決につなげる。 |
一人当たり採用コスト | (採用にかかる内部の費用 + 外部に支払う費用) ÷ 総採用人数 | 採用活動の効率性を測る。 |
フルタイム当量(FTE) | 総従業員の1週間の総勤務時間 ÷ フルタイム従業員の所定労働時間 | 実労働時間の概念も含めた直接雇用の労働力を把握する。 |
有給休暇取得率 | (有給休暇取得日数 ÷ 全社員の有給休暇付与日数) × 100 | 多様な人材の確保を目的とする。 |
リーダーシップに対する信頼 | 従業員サーベイに基づく平均スコア | 組織内のリーダーシップ指標をもとにリーダーのパフォーマンスや従業員からの評価を測る。 |
離職に伴うコスト | 一人当たり採用費 × 自発的離職者数 + 一人当たり教育費 × 自発的離職者数 + 一人当たり平均日額売上 × 自発的離職者数 × 採用までの平均日数 - 従業員一人当たりの給与及び福利厚生費 × 自発的離職者数 × 採用までの平均日数 | 離職に伴う費用や、機会損失額を測る。 |
労災により失われた時間 | (期間中にケガ等により失われた合計時間 ÷ 期間中の想定されていた合計労働時間) × 100万時間 | 労働環境の良し悪しを測る。 |
労災の件数(発生率) | (期間中の労災の件数 ÷ 期間中の従業員の総労働時間) × 100万時間 | 労働環境の良し悪しを測る。 |
財務経理部の指標
指標名 | 計算式 | 意味 |
---|---|---|
ROA総資産事業利益率 | 事業利益 ÷ 総資産 × 100 | 企業に投下された総資産(総資本)が、利益獲得のためにどれほど効率的に利用されているかを表す。 |
ROE自己資本利益率 | 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 | 投資家が投下した資本に対し、企業がどれだけの利益を上げているかを表す。 |
売上債権回転期間 | 売上債権 ÷ 売上高 | 売上債権を回収するまでの期間。 |
売上総利益率 | 売上総利益 ÷ 売上高 × 100 | 俗に「粗利率」といわれる。競合他社の価格戦略に大きく影響を受ける。 |
売上高営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 × 100 | 本業の儲けそのものを示す。事業ごとの利益をみていくことが好ましい。 |
売上高経常利益率 | 経常利益 ÷ 売上高 × 100 | 事業以外の投資を含めてどのくらい利益を得たか示す指標。 |
営業運転資本回転期間 | (売上債権 + 棚卸資産 ― 仕入債務) ÷ 1カ月あたりの売上高 | 月商と比べてどれだけの運転資金を用意しておけば良いのかを表す。 |
キャッシュインターバル | 現金預金 ÷ 1日あたりの販管費 | 現金預金だけで何日分の販管費をカバーできるか測定する指標。 |
固定資産回転率 | 売上高 ÷ 固定資産 | 固定資産が有効に活用されているかを明らかにする指標。 |
仕入債務回転期間 | 仕入債務 ÷ 売上原価 | 仕入債務が売上高の何日分あるかを示す。 |
自己資本比率 | 自己資本 ÷ 総資本 × 100 | 会社経営の安定性を測る指標。自己資本比率100%は無借金経営を意味する。 |
純有利子負債 | 有利子負債 ― 現金預金 | 指標の値が小さいほど短期の財務安全性が高い。 |
損益分岐点売上高 | 固定費 ÷ (1 ― 変動費率) | 固定費を回収して黒字になる売上高。 |
一人当たり売上総利益 | 売上総利益 ÷ 従業員数 | 従業員一人につきどれだけ粗利を得たか示す指標。企業全体における従業員の生産性をみる。 |
一人当たり売上高 | 売上高 ÷ 従業員数 | 従業員一人につきどれだけ売り上げがあったか示す指標。企業全体における従業員の生産性をみる。 |
一人当たり経常利益 | 経常利益 ÷ 従業員数 | 従業員一人につきどれだけ経常利益を得たか示す指標。企業全体における従業員の生産性をみる。 |
一人当たり人件費 | 人件費 ÷ 従業員数 | 従業員一人に月どれだけの人件費がかかっているか示す指標。人材獲得力の高さに影響する。 |
フリーキャッシュフロー | 営業CF + 投資CF | 企業が自由に使えるお金のこと。 |
不良債権比率 | 当該企業が有する不良債権の総額 ÷ 当該企業が有する債権の総額 × 100 | 債権回収状況の良・不良を示す指標 |
労働分配率 | 人件費 ÷ 売上総利益 × 100 | 企業が生み出した付加価値に占める人件費の割合。人件費の適正値を見直せる。 |
月次決算のリードタイム | 月次決算までにかかった日数 | リードタイムが短いほど、経営陣が迅速に決算情報を把握できるため、よりよい意思決定につながる可能性がある。 |
資金調達額 | ― | ― |
資金調達コスト | ― | 借り換えなど、交渉により調達コストを下げることができれば、利益創出に貢献することができる。 |
調査機関の評点 | ― | 調査機関の評点が高ければ、金融機関からの資金調達がやりやすくなる。 |
予実達成率 | 実績 ÷予算 × 100 | 予算の達成度合い。現場だけでは把握できない予実情報(販管費など)を、財務経理から現場に発信できれば、現場は達成率を高める行動ができる。 |
法務部の指標
指標名 | 計算式 | 意味 |
---|---|---|
1年間に発生したコンプライアンス違反の回数 | 1年間に発生したコンプライアンス違反件数 | コンプライアンスが浸透しているかを測る。 |
1年に発生した法的リスクの件数 | 法的リスク(裁判、調停、ADR、裁判外交渉)を生じさせた件数 | 法的リスクの件数と、組織の取り組みを測る。 |
違反事案の再発防止策の実施率 | (再発防止策の実施 ÷ 違反事案数) × 100 | 違反事案の再発防止に対する組織の取り組みを測る。 |
外部監査で指摘された事項の数と種類 | 外部監査の指摘件数、種類別の内訳、発生源別の内訳 | 外部監査の指摘事項とそれらに対する組織の取り組みを測る。 |
外部法律事務所への支払金額の削減率 | 1 - {外部法律事務所の支払金額(当期) ÷ 外部法律事務所の支払金額(前期)} × 100 | 法務部門のコスト効率を測る。 |
契約の審査から承認までの平均所要時間 | 契約の審査から承認までの合計所要時間 ÷ 契約数 | 法律業務の効率性をを測る。 |
他部門からのフィードバックに基づく改善策の実施率 | (改善策の実施 ÷ 他部門からのフィードバック数) × 100 | 法務部の体質改善を図る。 |
法務部門への満足度調査結果 | 「満足」と回答した数 ÷ アンケート全回答数 | 法務部門が機能しているかを測る。 |
リスク予防策の実施率 | (リスク予防策実施数 ÷ リスク予防対象数) × 100 | リスク予防の実施率を測る。 |
契約書エラーの発生頻度 | エラーの数 ÷ 契約書の数 | 契約書の質の向上を測る。 |
情報システム部の指標
指標名 | 計算式 | 意味 |
---|---|---|
ITコスト削減率 | 削減されたITコスト ÷ 総ITコスト × 100 | ITコストの削減率 |
インシデント解決率 | 解決されたインシデント数 ÷ 発生したインシデント数 × 100 | 発生したインシデントのうち、解決された割合 |
インシデント再発率 | 再発したインシデント数 ÷ 総インシデント数 × 100 | 再発したインシデントの割合 |
クラウドサービス利用率 | 使用クラウドサービス数 ÷ 総クラウドサービス数 × 100 | クラウドサービスの利用率 |
コスト予算達成率 | 予算内に収まったコスト数 ÷ 総コスト数 × 100 | プロジェクトが予算内に収まった割合 |
コンフィギュレーション管理精度 | 正確に管理されたコンフィギュレーション数 ÷ 総コンフィギュレーション数 × 100 | システムコンフィギュレーションの管理精度 |
サービスデスク応答時間 | 総応答時間 ÷ 応答回数 | サービスデスクがインシデントに応答するまでの平均時間 |
システムエラー数 | 報告されたシステムエラー数 | 一定期間に発生したシステムエラーの数 |
システム応答時間 | 総応答時間 ÷ 応答回数 | システムがユーザーの要求に応答するまでの平均時間 |
システム稼働率 | (稼働時間 ÷ 総時間) × 100 | システムが正常に稼働している時間の割合 |
セキュリティインシデント数 | 報告されたセキュリティインシデント数 | 一定期間に発生したセキュリティインシデントの数 |
データストレージ利用率 | 使用データストレージ量 ÷ 総データストレージ量 × 100 | データストレージの利用率 |
データ復旧成功率 | 成功したデータ復旧数 ÷ 試行されたデータ復旧数 × 100 | データ復旧が成功した割合 |
ネットワーク可用性 | (ネットワーク稼働時間 ÷ 総時間) × 100 | ネットワークが利用可能な時間の割合 |
バグ修正率 | 修正されたバグ数 ÷ 報告されたバグ数 × 100 | 報告されたバグのうち修正された割合 |
プロジェクト納期達成率 | 期限内に完了したプロジェクト数 ÷ 総プロジェクト数 × 100 | プロジェクトが期限内に完了した割合 |
ユーザートレーニング完了率 | 完了したトレーニング数 ÷ 必要なトレーニング数 × 100 | 必要なトレーニングが完了した割合 |
ユーザー満足度 | 満足度合計 ÷ 回答者数 | ユーザーのシステムサービスに対する満足度 |
平均インシデント解決時間 | 総インシデント解決時間 ÷ 解決したインシデント数 | インシデントが解決されるまでの平均時間 |
平均故障間隔 (MTBF) | 総稼働時間 ÷ 故障回数 | システムが故障せずに稼働している平均時間 |
平均修復時間 (MTTR) | 総修復時間 ÷ 修復回数 | システム障害発生後の平均修復時間 |