人事評価研修とは?目的・必要な理由や具体的なプログラム内容を解説

人事評価研修の目的とはのTOP画イメージイラスト

「自社の人事評価の質やレベルのバラつきに頭を痛めている」という方にとって、人事評価研修の実施は問題解決に直結する良策です。

しかしながら、「人事評価研修を行いたいが、具体的にどこから手を付けてよいかわからない」という声をよく耳にするのも事実。

せっかく人事評価研修を実施しても間違った研修であれば、逆に自社の人事評価の質を下げる原因ともなりかねません。

本記事では、「人事評価研修」について、目的やなぜ必要なのか、どうやれば良いのか、事例を交えて解説します。

本記事のポイント
  • 人事評価研修とは何か全体像を解説
  • 意義を理解したうえで効果的なやり方を選択できる
  • 研修の効果を高めるためのコツをお伝え

「人事評価研修を初めて実施する」「研修の効果を最大限に高めたい」…という方におすすめの内容となっています。

この解説を最後までお読みいただければ、自社にとって有意義な人事評価研修を実施できるようになるはずです。

ではさっそく解説を始めましょう。

1. 人事評価研修とは何か?基礎知識

人事評価ー研修ー第1章人事評価研修イメージ

まず、そもそも人事評価研修とは何なのか、基礎知識から解説します。

1-1. 評価者が人事評価プロセスの正しい手法を学ぶ研修

人事評価研修とは、人事評価において評価をする人(管理職、上司)を対象として、目標設定から評価・評価結果を伝える面談まで、一連の人事評価プロセスの正しい手法を学ぶ研修です。

そもそも人事評価とは、ある決められた期間における社員の成果や行動を評価することですが、人事評価を行う評価者の評価スキルが低ければ、正しい評価ができません。

そこで、人事評価を行うために必要な知識を身に付け、評価者としてのスキルを向上させるために実施されるのが人事評価研修です。

1-2. 人事評価研修の狙い・目的

評価者の評価スキル向上を目指す人事評価研修の狙いは、適切な評価を通して社員の不満を回避しモチベーション向上を図るとともに、社員の成果向上や人材育成を通して企業の成長を促すことにあります。

評価者のスキルが低く、人事評価が適切に運用されていない企業では、企業としての目標達成・業績向上が難しいのみならず、社員のモチベーションや生産性の低下によって、業績が悪化することさえあります。

人事評価研修によって自社の人事評価を適切に運用できるようにすることは、業績に直結する重要な要素といえるのです。

1-3. 人事評価研修プログラムの概要

人事評価研修で具体的にどんなことを学ぶのか、プログラムの概要は以下のとおりです。

▼ 人事評価研修プログラムの概要

  • 人事評価の意義・重要性
  • 自社の人事制度の仕組み
  • 評価者に求められる考え方やスキル
  • 人事評価で発生しやすい評価エラー
  • 目標設定のやり方
  • 面談のやり方
  • 評価演習

※実際の例について詳しくは後ほど「4. 人事評価研修の具体的なプログラム内容」にてご紹介しますので、続けてご覧ください。

1-4. 人事評価研修を実施する頻度・タイミング

人事評価研修を実施するタイミングとしては「一年に1回」が適切です。

新たな人事評価の期間が始まる期初に、評価者全員を対象に実施します。

加えて、初めて人事評価制度を導入するときや、人事評価制度を改訂したときなどにも、実施する必要があります。

しかしながら、実際には「人事評価は実施しているが、研修はしたことがない」という企業が存在することも事実。

なぜ人事評価研修が必要なのか、その理由を次章でご紹介しましょう。

2. 人事評価研修が必要な理由

人事評価ー研修ー第2章書類イメージ

人事評価研修は、人事評価を実施しているあらゆる企業にとって必須といえます。

その理由は、以下のとおりです。

  • どんなに仕事ができる上司も評価スキルは学ばなければ身につかない
  • 人事評価が低レベルなまま放置すると優秀な人材が離職する
  • 人事評価スキルを向上しないと組織の業績は上がらない

それぞれ解説します。

2-1. どんなに仕事ができる上司も評価スキルは学ばなければ身につかない

1つめの理由は「どんなに仕事ができる上司も評価スキルは学ばなければ身につかない」からです。

“人事における評価”に関する知識や技術は専門的であるという事実を、ハッキリと認識する必要があります。

企業には、営業部、マーケティング部、システム部、カスタマーサポート部など、さまざまな部署があるでしょう。

それぞれの部署において部下をマネジメントする優れた上司であることと、“人事における人事評価”を適切に行える上司であることは、必ずしもイコールではありません。

評価者としてのスキルは、会社側が必要な教育研修を準備して、しっかりサポートする必要があります。

必要なサポートをしないと評価レベルが低くなるのは当然の帰結といえるのです。

2-2. 人事評価が低レベルなまま放置すると優秀な人材が離職する

2つめの理由は「人事評価が低レベルなまま放置すると優秀な人材が離職する」からです。

人事評価のスキル向上は、採用戦略上においても、極めて重要度の高い課題であることを知っておきましょう。

なぜなら、人事評価のレベルが低い企業は、どんなに優秀な人材を獲得しても人材流出が止まらないからです。

評価される部下(被評価者)にとって、自分を評価する上司を信頼できるか・否かは、会社に在籍し続けるかの判断に直結します。

会社側には伝えていなくても、実は人事評価が退職を決意する決め手となっている社員は多いのです。

人事評価に問題を抱えたまま、採用広告に投資したり新人研修や定着率向上施策に取り組んだりしても、穴の空いたバケツに水を注ぐようなもの。

順序として、まずは入社した社員が納得できる人事評価の質を確保しなければなりません。

2-3. 人事評価スキルを向上しないと組織の業績は上がらない

3つめの理由は「人事評価スキルを向上しないと組織の業績は上がらない」からです。

「売上アップ」「コスト削減」といった施策とは違い、数字に直結して成果が見える課題ではないために後回しにする経営者が後を絶ちません。

しかしながら、人事評価の課題を放置すれば業績はあっという間に悪化します。

ほとんどの企業は年に1回ないしは2回の人事評価を行いますが、そのたびに社員のモチベーションが上がるのか・下がるのかによって、業績が大きく変わるのは想像に難くないでしょう。

ただ、人事評価研修が真価を発揮するのは評価を実施する期末ではなく、社員が成果をあげていく期中のマネジメントにあります。

適切な人事評価研修によって、期初の目標設定から期中の部下へのフォローアップ、期末の評価・成長を促すフィードバックといった一連のプロセスを上司たちが学ぶと、何が起きるか想像してみてください。

組織全体の業績が、著しく向上していくのです。

そのリターンを考えれば、コストをかけてでも人事評価研修を実施する意義が、理解できるはずです。

3. 人事評価研修のやり方

人事評価ー研修ー第3章人事評価研修イメージ

では具体的に人事評価研修とは、どのようにやれば良いのでしょうか。

ここではやり方を見ていくことにしましょう。

3-1. 専門講師に依頼する外部委託が一般的

自社で人事評価研修を実施しようとすると、何をして良いかわからないという声は多いのですが、そもそも自社の社員の手作りで研修を実施している企業は少ないのが実態です。

先にも述べたとおり、人事評価には専門の知識や技術が必要で、そのナレッジが社内にある企業は稀だからです。

人事評価研修は、専門講師に依頼して外部委託しているケースが一般的です。

※以下は弊社の研修を導入された企業の一例です。

社員数が数十名の企業から1万人レベルの企業まで、外部委託の研修を利用していることがおわかりいただけるかと思います。

▼ 外部委託の人事評価研修を導入している企業の例

  • 大手商社の子会社(社員数500~1,000名)
  • 不動産仲介大手(社員数3,000~4,000名)
  • 出版大手ホールディングス(社員数5,000~10,000名)
  • 県民共済(社員数200~300名)
  • 大手アパレル(社員数3,000~4,000名)
  • ネットワーク系ベンダー(社員数50~100名)
  • 医薬品の製造販売(社員数500~1,000名)
  • ソフトウェア系ベンダー(社員数50~100名)
  • ガソリンスタンド(社員数50~100名)
  • 革製品の製造販売(社員数100~200名)
  • 大手設計事務所(社員数2,000~3,000名)
  • ハウスビルダー(社員数200~300名)
  • 社会福祉法人(社員数100~200名) 他

3-2. 1講師あたり20人〜30名・費用は1日45万円(弊社の場合)

ここで気になるのは、「人事評価研修を外部に依頼すると、どれくらいの費用がかかるの?」という費用感ではないでしょうか。

例として弊社の場合であれば、費用は1日45万円(半日25万円)が基本です。

専門の講師を派遣し、1講師あたり20〜30名まで対応できます。

年に1回・期初(3月決算の会社であれば4月)に1日の研修を実施する場合、「費用は年間で45万円」となります。

「費用対効果は良い」と感じる方が多いのではないでしょうか。

※弊社の人事評価研修について詳しく知りたい方は「評価者研修のプログラム例・ポイント・参加者の感想」をご覧ください。

3-3. 自社専用にプログラムを組んでもらうのがおすすめ

人事評価研修は、画一的なパッケージではなく、自社専用にプログラムをカスタマイズして実施するのがおすすめです。

というのは、自社の評価制度を踏まえた研修を実施しないと、運用の改善に直結しないためです。

実際に利用している評価項目・評価基準・目標に関するシートなどをテキストに盛り込んだ研修を実施できるサービスを選ぶようにしましょう。

4. 人事評価研修の具体的なプログラム内容

人事評価ー研修ー第4章研修イメージ

より具体的に人事評価研修の内容をイメージしていただくためには、具体的なプログラム内容を見ていただくと早いでしょう。

ここでは弊社で手がけた2社の実際のプログラムをご紹介します。

4-1. 「人事制度の基礎」から学ぶA社の事例

人事評価ー研修ー第4章人事評価研修の内容

1社目の事例は「人事制度の基礎」から学ぶA社のプログラムです。

初めて人事評価研修を実施する企業では、こちらのA社の内容が参考になるはずです。

▼ プログラムの流れ

  • (1)人事制度の理解
  • (2)人事評価のPDCA
  • (3)評価の準備・注意点
  • (4)1on1の練習
  • (5)まとめ

背景として、A社の依頼ポイントとしては、以下の3つがありました。

▼ A社の依頼ポイント

  • 「制度改定の準備中である。制度改定の必要性をしっかり共有したい」
  • 「人事評価の基本知識、基本動作を習得、徹底して欲しい」
  • 「新しい制度では、1on1を導入する予定である」

そこで、人事評価の基礎知識・基本動作の習得徹底を意図した、「(1)人事制度の理解(2)人事評価のPDCA(3)評価の準備・注意点」を実施したうえで、新制度における1on1のロールプレイングまで組み込んでいます。

9時〜17時の1日だけの研修ですが、1日だけでも人事評価の基本からロールプレイングまで充実した内容が実施できることが、イメージできるかと思います。

4-2. 「人事制度の改定」と「発生している問題」にフォーカスしたB社の事例

人事評価ー研修ー第4章ー02人事評価研修の実施内容の例

2社目の事例は「人事制度の改定」と「発生している問題」にフォーカスしたB社のプログラムです。

人事評価における自社の課題が明確になっている企業は、こちらのB社の内容が参考になるでしょう。

▼ プログラムの流れ

  • (1)制度改定ポイント
  • (2)期待役割の発揮
  • (3)目標管理の手法
  • (4)目標管理の実践
  • (5)ケーススタディ
  • (6)まとめ

先ほどのA社と同じく9時〜17時の1日のプログラムですが、人事評価の基本研修はなく、代わりに自社の制度改定の解説と課題解決に時間を割いています。

背景となるB社の依頼ポイントは以下のとおりでした。

  • 「職能型から役割型に制度を変更した。役割に沿った行動を促したい」
  • 「目標管理を採用しているが、運用が上手くいっていないのでリマインドし、トレーニングして欲しい」
  • 「現場で起こっている人事エラーの再発防止に努めたい」

「目標管理がうまくいかない」「評価エラーが起きている」といった問題は、多くの企業で聞かれるものです。

すでに見えている課題があれば、B社のように課題をピンポイントで解決する研修を実施することで、早期に改善が見込めます。

5. 人事評価研修の効果を上げるコツ

人事評価ー研修ー第5章研修イメージ

最後に、人事評価研修の効果を上げるコツを3つ、お伝えしましょう。

  • 毎年繰り返し継続して実施する
  • 日常業務への反映を重視する
  • 自社と相性の良い研修プログラムを見つける

5-1. 毎年繰り返し継続して実施する

1つめのコツは「毎年繰り返し継続して実施する」です。

人事評価研修は「1回受けたら終わり」ではなく、組織全体に対して反復的に施し続けることによって、人事評価の質が一定以上にキープされる類いの研修といえます。

人事評価研修は、年に1回を目安として、繰り返し継続して実施しましょう。

定期的に繰り返し研修を受けることは、おさらいになるのと同時に、忘れかけていた正しい評価者としての意識を戻すきっかけとなります。

5-2. 日常業務への反映を重視する

2つめのコツは「日常の業務に反映させる」です。

「年に1回しか行わない人事評価のためだけに研修なんて必要か?」という声がありますが、人事評価研修の結果は、日常業務へ反映することが大切です。

目標設定や評価シートの記入、フィードバック面談だけでなく、日常業務を通じて“部下が評価される状態”に引き上げてこそ、人事評価制度が真に運用されているといえます。

人事評価研修の内容を検討する際には、「それで、これをどう日常業務に反映するの?」という視点を保ってチェックしてください。

5-3. 自社と相性の良い研修プログラムを見つける

3つめのコツは「自社と相性の良い研修プログラムを見つける」です。

人事評価研修を外部の講師に委託するうえで、研修プログラムや講師との自社との相性も重要になります。

もし今までに「人事評価研修を実施したがイマイチ効果が感じられなかった」という場合、研修自体ではなくその内容に問題があった可能性が高いでしょう。

自社の方針と合うプログラムを改めて探してみてください。

参考までに、弊社で提供している人事評価研修のスタンスは「成果」を重視しています。

これは「人事評価や人材育成は手段であって、本当の目的は成果にある」という考え方に基づきます。

人事評価ー研修ー第5章ー03人事評価の目的

ご興味をお持ちの方は、評価者研修 お問合せフォームよりお問合せください。

6. まとめ

人事評価研修とは、評価者(管理職や上司)が人事評価プロセスの正しい手法を学ぶための研修です。

人事評価が必要な理由は以下のとおりです。

  • どんなに仕事ができる上司も評価スキルは学ばなければ身につかない
  • 人事評価が低レベルなまま放置すると優秀な人材が離職する
  • 人事評価スキルを向上しないと組織の業績は上がらない

人事評価研修の具体的なやり方としては、外部の専門講師に依頼して実施するのが一般的ですが、自社専用にプログラムを組んでもらうのがおすすめです。

人事評価研修の成果を上げるためには、以下のポイントを意識してみましょう。

  • 毎年繰り返し継続して実施する
  • 日常業務への反映を重視する
  • 自社と相性の良い研修プログラムを見つける

人事評価研修を有効活用すれば、次期の業績を向上させることも可能です。

さっそく具体的な実施内容を検討してみてください。

参考

株式会社ベクトル
株式会社ベクトルは、様々な分析アプローチを基に、企業の「人材マネジメント戦略」を具体的・定量的に構築することは勿論、様々な人事施策構築・実行段階、各種研修の支援をしています。