こんにちは、株式会社ピースのブログからお届けしています。
ロスジェネ世代=ロストジェネレーション。
「ロストジェネレーションー25~35歳」(朝日新聞の連載)や、「ロスジェネの逆襲」(「半沢直樹」シリーズ第3弾)など、気がつけば、新聞、ドラマ、本、雑誌でロスジェネ世代という言葉を目にしない日はないぐらい、よく見かけるキーワードになってきています。
そこで今回は「ロスジェネ世代」の人材育成について考えていきたいと思います。
ロスジェネ世代とは
ロスジェネ世代とは、就職氷河期(1993年〜2005年)に学校を卒業し、社会人になった世代のことを指すようです。
2014年現在では30代前半から40代前半の世代のことであり、会社では中堅社員というところでしょうか。
ロスジェネ世代。元々は、就職氷河期に社会に出た若者たちを描写したキーワードであり、ニート、派遣社員など20代~30代前半までの若者を取り巻く労働環境や、そこにいる若者たちの心理描写が主な内容でした。
最近は、今後の会社を担う中堅社員の特徴、育成課題を表現するときに用いられるようになってきているようです。
何だか、出版業界や研修・コンサルティング業界が都合よく「ロスジェネ世代」という言葉を流布しているような気もしますが、会社で働く中堅社員の育成課題が、様々な会社で問題になっていることも事実ですので、この記事の中でも主に中堅社員をイメージして書いていきます。
巷で言われているロスジェネ世代の特徴とは
内向的で覇気がない
指示がないと動けない
途中で仕事を投げ出す
出世欲がない
ネットで「ロスジェネ世代の特徴」を調べてみると、何だか散々な言われようです。幼少期の時代背景を列挙し、ロスジェネ世代が駄目になった理由を説明しているものが多かったように思います。
危機感を煽って、解決策を提示する。いつの世でも商売の常套手段ですね。ここは冷静になって、売り言葉を鵜呑みにせず、自らの目で確認し、自らの頭で考えたいところです。
光があるから影がある。影があれば光もあるわけです。2013年、2014年と中堅社員研修を依頼される機会が沢山ありましたが、そこで接する中堅社員には良いところも沢山ありました。
冷静
論理的に物事を考える
指示されたことは忠実に実行できる
建設的なコミュニケーションができる
厳しい就職氷河期やコンプライアンス強化の波を乗り越える中で身に付けてきた考え方、スキルを確かに見て取れます。
ロスジェネ世代の育成課題
中堅社員研修で接している限り、巷で言うような「途中で仕事を投げ出す」といった、ひどい中堅社員はあまり見かけませんでした。そういう中堅社員は既に会社を去ってしまったのかもしれません。
一方で、確かにロスジェネ世代を象徴する課題もあるように見えました。
論理的 → ユニークなアイデアが少ない、発想力が足りない
指示に忠実 → 手順に関する質問が多く、自分たちで手順を考えない
建設的 → 厳しい議論、意見対立がないため、考えが少し浅い
少し残念は気持ちもありますが、雑誌やネットで目にする特徴も否めない部分もあります。
「出世欲がない」という点については、異論があります。出世欲がないのではなく、「今の上司のようになるのは御免だ。」という気持ちが背景にあるだけのような気がしています。
表面的には出世欲がないため → やや視野が狭く、視点が低い
という特徴はあるように感じています。
ロストしたものは何か
幼少期の時代背景、就職環境を分析するのは、心理学者や出版社の方にお任せするとして、今私たちが考えないといけないのは、職場環境であり経営環境ではないでしょうか。
ロスジェネ世代が今に至るまでの10年間、職場環境、経営環境も随分変化してきたように思います。
育成経験が少ない
新卒採用人数の減少 → 後輩が少ない →上司から色々なことを教わっていない
プレーイングマネージャーの増加 → 上司が忙しい →人間関係の希薄化
アルコール規制 → ノミュニケーションの減少 →チェックコストの増加、失敗が許されない環境
コンプライアンスの強化 → チェック体制の強化 →会社へのロイヤリティ低下 → プライベート重視
成果主義の導入、競争激化、リストラ、中途採用の増加 →基礎的なビジネス言語、スキルを知らない
教育予算のカット → 中堅社員研修のカット →ロスジェネ世代の課題を挙げ、それを直すよう指導する、という短絡的な思考では見えてこない部分もあります。本当にロストしたものは何か。
教わった経験
職場における人間関係
失敗する権利=チャレンジする権利
働くことの楽しさ、安心できるコミュニティ
OffJTで学ぶ機会
本当にロストしたのは、こうしたものだったのではないでしょうか。
ロスジェネ世代の人材育成 | まとめ
誰が、何を失ったのか。そして、今何をすべきか。
中堅社員研修を企画するにしても、もう少し踏み込んだ考察をしてみると、また違った成果が得られるのではないでしょうか。