こんにちは、株式会社ピースのブログからお届けしています。今回は「中堅社員のモチベーション低下への対応策」について書いていきます。
管理職の方や、人事部の方とお話していると
当社の中堅社員が伸び悩んでいる
一通り仕事ができるようになってこれから!というタイミングで辞めてしまう社員がいる
というお悩みをお持ちであることがあります。
新入社員や若手ではない。管理職でもない。さりとて、次期管理職候補というにはまだ少し早い。それぐらいの位置にいる中堅社員によく見られるようです。
比較的頻繁にお伺いする話であり、特有の症状というより、どの会社でも一定確率で起こっているようです。この「次男坊症候群」とも呼ぶべき症候群について、背景、対応策について考えていきます。
家族的役割で次男坊の精神性を探る
伸び悩んでいる中堅社員のチームにおけるポジションを、家族構成に置き換えてみるとどうなるでしょうか?
管理職:お父さん。一家の大黒柱。全体を見る。
次期管理職:長兄。長兄としてお父さんを補佐し、弟たちの面倒を見る。
中堅社員:次兄。兄でもあり、弟でもある。家族内ではどこか目立たない。
新人・若手:末弟。お父さんには可愛がられ、長男に面倒をみてもらえる。
新入社員は、世間知らずなだけに大変なことも多いが、まだ何もできない社員ということで、お父さん、長兄からのフォローが手厚い。
若手社員はまだまだ未熟であるため、新入社員ほどではないがフォローが手厚い。仕事を覚える楽しさ、できるようになる楽しさといった新鮮さがあるため元気が良い。末弟なだけに、可愛らしく甘えることも許されている。
次期管理職。長兄なだけに、弟たちの面倒見が悪いと、お父さんからこっぴどく叱られたりもするが、それも期待の表れ。今後の一家を支えるために、家訓をお父さんから仕込まれるため、悩んでいる暇はない。
管理職。一家を路頭に迷わせないために、好き嫌いではなく責任感で働く。モチベーションだの、自己実現だの言っている余裕はなく、周囲のために大人として振る舞い始める。
問題は次兄(中堅社員)。お父さんからの期待もそれほど大きくなく、長兄の陰に隠れがち。かと言って、末弟の面倒を見ないと、ときどき叱られる。
そろそろしっかりしないといけないのはわかっているが、長兄からはパシリにされるし、末弟からはお父さんや長兄が見ていないところで反発されるし、何よりやたら要領がよい末弟が可愛くない。
手厚くフォローされるわけでも、大きな期待をされるわけでもない、何だか中途半端な存在。「自分は大切にされていないのかな?」と暗に感じてしまう。
仕事も一通りできるようになってきたが、裏を返せば少しマンネリ気味。ちょっと時間ができてくると、「これが本当に自分がやりたかった仕事なのだろうか?」と悩んでしまったりもする。
それが組織の次男坊が陥ってしまう、悪いパターンではないでしょうか。
年齢や社歴に依らない次男坊症候群
一般的には、入社8~12年目に発症することが多いようですが、年齢や社歴に依らず発症する場合もあるようです。
末弟が退社/異動する
いつまで経ってもお父さん、長兄が昇格しない
長兄になる機会はあったが、なり損ねてしまった
こうした要因により次男坊としての滞留期間が長いと、伸び悩みます。
本来、次男坊という立場のときにしかできないことが沢山あり、大した悩みもなく長兄、お父さんへとステップアップしていく方も多いのですが、わかりやすい環境変化がないと、どうしても次男坊という立場に留まってしまう方もおられるようです。
※プライベートで大きな出来事(結婚や出産、大切な方との別れなど)があると、組織内のポジションに依らず成長される方も多いですが、それらの出来事がマイナスに作用することもあり、悪い場合は末弟レベルに戻る方もおられます。
次男坊症候群に対応する
管理職による対応
人事部による対応
大きくは3つあります。
次男坊と言っても、「社会的には良い大人であり、本人の問題だ!」とするのも致し方ない気もしますが、本人だけでは解決できないから長期間低迷したり、辞めたりするとも言えるため、ここでは、本人以外による対応についてご紹介していきます。
管理職主導の対応
そもそも上司である管理職から、次男が納得できる期待、役割が明確に示されていないため、家族的役割でしか自己を認識することができなくなってしまうのです。
「そろそろしっかりしろよ!」ではなく、チームの方針や課題に沿って、明確な課題を示し、この一家にとってなくてはならない存在であることを認識してもらいます。
次期管理職には管理職の要件を伝えていくため、比較的わかりやすい課題が与えられることが多いのですが、その手前の段階、中堅社員に対する課題は曖昧なことが多いのではないでしょうか?
コミュニケーションについては、お父さん(管理職)もプレーイングマネージャーであり、また、末弟や長男の育成で忙しいため、次男にかける時間が減少してしまうのも致し方ありません。
ただし、次男に対する気持ちぐらいは置いておかないといけません。極端にコミュニケーション量が減っているようであれば、時間配分を見直す必要があります。
長男の、次男に対する接し方を変えること。これは案外重要です。お父さんが長男に対して行っている言動、例えば大きな仕事を任せたり、皆の前で立てるといった気配り。こうした部分はお父さんにならないと気が回らなかったりします。長兄にも成長を促す必要があります。
人事部主導の対応
思い切って新しい環境を提供するというのも、一つの手段です。長い目で人材育成を考えれば、ジョブローテーションは有効です。家族の中で一番動かしやすいのは次男ではないでしょうか。
ジョブローテーションが難しい場合は、全社横断型プロジェクトに参画させるなど、いつもとは違う目線、違うメンバーで考える環境を提供するのも有効な手段です。
キャリア開発研修の是非
本人に自らの未来を考えてもらうべく、キャリア開発研修を行うという対応策があります。「本人に考えて!」は可愛そうなので、「考えるサポートは会社主導で行おう!」ということです。
道義的にはまったくもって正しい対策ですが、目の前にある、「長兄、お父さんになるための課題」が見えていない方に、人生を考えるよう仕向けるのは一定のリスクがあります。
今の仕事ではなく、もっと世のため人のためになる仕事がしたい
↓
今の仕事も世のため人のためにあるが、次男が向き合っていないだけ
仕事だけではなく、もっと色んな経験がしたい
↓
お休みを作れないのは仕事の仕方が悪いだけ
お休みを上手く利用して、動いていないのは自分の問題
仕事の幅を広げる=自分の幅も広がることを知らないだけ
↓の後に書いた部分がわかる次男坊や、リスクを理解した研修講師であれば、キャリア開発研修も、次男坊にとって良い機会になると思います。
中堅社員のモチベーション低下に手を打つ | まとめ
人間であれば誰しもモチベーションが上がらないことがあるものです。
本人の問題だ!と断罪する前に、周囲から暖かいサポートを行うことも、ときとして必要なのではないでしょうか。
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