人事制度を検討する中でよくでてくるのが“エース人材”の育成です。
どうすれば会社の業績をリードするような人材が育つのか。
エース人材の育成を考える上で、避けて通れないのが“修羅場経験”です。
一皮むけるような大きな成長を促すのが、修羅場経験とそこから得られる教訓にあるからです。
修羅場経験が成長を促す
人材育成を扱う研修では、参加者に「自分自身が成長したきっかけ」を思い返してもらうようにしています。
この問いかけは、育成手法を考えるヒントになると考えています。
研修では、以下のような事柄が列挙されます。
- 仕事で追い込まれた経験と、それを切り抜けたとき
- 大きな失敗経験と、その振り返り
- 大きな環境変化(昇格、異動、転職、海外勤務)
- 上手くいっていないプロジェクトの立て直しをした経験
- 要求が厳しいお客様と仕事をした経験
- 仕事を丸っと任せてもらった経験
共通するのは、「これまでと異なる経験」「困難な経験」ということです。
経験というキーワードはこちらから提示していないのですが、多くの方が●●した経験を挙げます。
一方で、
- 良い上司に恵まれた
- 研修で学んだ
- プロジェクトで成功をおさめた経験
- 目標を達成した経験
など、他人から教えられたことや、成功経験を挙げる人が、案外少ないことに驚かされます。
つまるところ、人は経験から自分自身で学び、経験がハードであればあるほど学びも多い、ということなのでしょう。
さて、それならばと、「部下にも修羅場経験を用意しなくては!」と考えるのですが、これが簡単ではありません。
多くの人は修羅場に行きたがらないので、こちらが用意してもなかなか一歩を踏み出してくれません。
先日もある友人がこう漏らしていました。
「巨額の赤字を出しているプロジェクトにアサインされそうだ。前任者のやり方が悪く、かつ、契約でガチガチなので挽回できることが少なそうだ。キャリアに響きそうなので行きたくない、、、」と。
前半は事実なのでしょう。
しかし後半はどうかと思いました。
私がその会社の経営者なら、巨額の赤字を出しているプロジェクトには、エースを送り込むか、自分で火消しにいく、と思うからです。
つまり、その友人の社内評価は高く、将来を期待されているのではないか?と。
昇格条件(入学要件)を上手く活用する
修羅場に向かう社員に対して、何かしらの報酬や待遇をあらかじめ約束することは得策とは言えません。
修羅場に行って、何もできずに帰ってくる可能性もあるからです。
しかし、何の説明もなく、行ってこい!では人は動かないと思うのです。
やはり、何かしら会社からのメッセージが必要です。
弊社のクライアントには、等級制度の昇格要件に、「修羅場経験を乗り越えた社員を優先的に昇格させる」といった趣旨の文言を入れておくことをおすすめしています。
修羅場に行って来い!と精神論でいくのか。
修羅場経験を制度として用意するのか。
とても重要なテーマであると思います。皆様の会社で実践している良いやり方があれば教えてください。