あとがき~動画配信型・研修の学習効果について

研修後記
リモートワークの進展に伴い、研修動画を作れませんか?という依頼が増えてきました。

実際、研修マーケットに動画見放題を売りにしたプレイヤーが増えてきています。

残業を減らす風潮の中で、「学習は業務時間外に自宅でやって欲しい」という企業側のニーズも追い風になっているように感じます。

こうした動画配信型・研修は低コストですが、その効果はいかほどでしょうか。

(オンラインによる双方向型のライブ研修は、十分効果があると考えています。ここで取り上げているのは、一方通行の動画配信による研修のことです)

動画学習で、最初に大きなマーケットを作ったのは社会人教育ではなく、東進衛星予備校など大学受験向けの映像授業です。

大学受験マーケットで映像授業が流行り始めたとき、塾業界の方に尋ねたことがあります。

「高校受験用の映像授業は売らないのですか?」と。

その回答は、

東進衛星が上手くいっているのは、もちろんコンテンツが良いからですが、受講する生徒の意欲、能力が高いからでもあるんです。東大のような難関大学を目指す高校生がターゲットです。

そういった生徒は、ある程度自主学習ができる。わかるところば飛ばして進め、わからないところは何度も巻き戻してみる。非常に効率的です。

一方で、意欲が高くない中学生に映像授業を見せるとどうなるか。寝てしまったり、わからないところがあっても、ただ見ているだけになってしまい、結局、横で先生がサポートする必要があります。

やるとすれば、授業が面白くて、学力レベルに合わせた複数の動画があって、わからないときに先生に質問できるような工夫が必要になります。今のところ、それを映像化するメリットが少ないということだと思います。

というものでした。

なるほど!と思ったものです。

コロナ禍を追い風に、映像授業の低学年化、レベル分けは一気に進みましたが、それはあくまでリモートで授業を行わなければならない、という制約があっての話で、学習効果の検証はこれから、というのが実態でしょう。

(恐らく、リモートワーク化で顕在化したように、仕事できる人はリモートでOK、仕事できない人はリモートでは困る、という現実が待ち受けているように思います。)

同様のことが、社会人向けの動画学習にも言えると考えます。

  1. 受講者の意欲が高いこと(もしくは受講者の意欲を上げる仕組みがあること)
  2. 動画のレベルが受講者のレベルに合致していること

この2点が学習効果に影響を及ぼすでしょう。

また、多くの受験問題は1つの決まった正解を求めるのに対して、ビジネスでは決まった正解がないため、一方通行の動画では、教育効果が見込めない可能性が高いです。

  1. 双方向型のコミュニケーションを入れること

を上手く組み合わせたサービスが効果を発揮し、生き残っていくと想像します。

実際に、動画配信に終始せず、対面型研修と組み合わせたり、課題添削を盛り込んだりと、様々なサービスがトライアルで始まっているようです。

結論が最後になりましたが、動画配信型・研修に対する私の提案は以下です。

  1. 「基礎的な学習」「会社の仕組み・ルールの学習」「資格学習」に絞る
  2. テストをセットにする
  3. テスト合格を昇格・昇進の条件にする

皆様の会社で取り入れている、動画研修の良いやり方があれば教えてください。