徹底力が違うを生む

「何事も徹底することが大切だ。」

昭和世代の人間であれば、幼少期からどこかで聞いてきた言葉ではある。なんとなく「まぁ、やると決めたからには徹底したほうがいいよね。」ぐらいの感覚はあるだろう。

実際に、企業経営においても徹底力が大きな違いを生む。

とあるクライアントの話。


クライアントの本社は九州の地方都市にあり、1代で100億円まで売上を伸ばしてきた企業だ。東京に支社がある。

人事制度改定のお手伝いをさせていただき、プロジェクトは無事終了。これが2020年の春。

2020年の夏、先方の常務から一通のメール。「近くによるので、御社によっていいですか?」と。

「東京支社があるので、ついでによっていただいたのかな?」などと呑気に考えながら、弊社で待機していると、果物がたくさん入った大きな箱持参で、常務が登場。

すごく暑そうだ。

猛暑の中、お中元を直接届けていただいたようで、正直、「そんなの郵送してくれればいいのに。」と内心思いながらも、ニコニコ雑談。近況を語り合う。

聞くと、その果物を包むフィルムが特殊なもので、果物が長持ちするらしい。フィルムは、このクライアントが開発したアイテムだ。商品のPRも兼ねた来社だっだのかもしれない。

2020年の冬、また常務から一通のメール。「近くによるので、御社によっていいですか?」と。

「また?」「ひょっとして、今度はお歳暮を持参されるのかな??」と少し怪訝に感じながら、弊社で待機していると、やはり果物がたくさん入った箱持参で、常務登場。

少し寒そうだ。

今回は自社で栽培した果物。夏はオレンジで、冬はいちご。これが両方ともすごく美味しい。弊社の社員も絶賛だ。

もしやと思ったが、やはり予想通りで、2024年の夏まで、一通のメールによるアポ取りと、果物持参の来社は続いており、弊社の社員が楽しみにするイベントになっている。


先日の来社時に、この秋の管理職研修について相談いただいた。現在実施に向けて企画中だ。

私は仕事を発注頂く嬉しさより、違う感覚、言葉を選ばず言うと、少し寒気がした。

このクライアントは、弊社のように比較的付き合いが浅い業者に対しても、年2回直接コミュニケーションをとり、情報共有し、必要に応じて仕事をしているのだ。

直接交流、コミュニケーションの徹底。

付き合いが長い業者、顧客、社員に対してはどうだろう。もっとやっているのではないか。全業者、全顧客、全社員に徹底しているとしたら?

徹底しているのだと思う。アポ取りの時間調整の仕方を見ていると、かなり訪問を詰め込んでいる様子が伺えるからだ。

2020年のプロジェクト時に聞いた話が色々と蘇ってくる。

・融資をしてくれている銀行の幹部が、幼少期からのご近所さん。
・親戚の困りごとを解決してできたヒット商品がある。
・経営者は社員の実家がどこにあるか大体把握している。(社員は200名以上いる)

このような逸話が、このクライアントにはたくさんある。


お歳暮やお中元も惰性でやれば効果を生まないが、1つ1つ丁寧に徹底すれば、価値が生まれる。

業績を伸ばす会社には、何かしら徹底力をもっており、それが違いを生んでいる。

弊社はまだまだ「徹底」が足りないなと感じた出来事。