以下にあるA社~E社の事例は、弊社に寄せられた「人事制度上のよくある問題」です。弊社では様々な問題に対するソリューションを蓄積することで、人事制度改革を行う企業様のご支援をさせて頂いております。
A社:年功序列・新卒一括採用から脱却できていない
A社の状況
- 職能資格制度を採用してきたが、等級定義や昇降格基準が曖昧であり、処遇は年功序列になっていた。
- A社では新卒採用を中心に採用計画を決めてきた。
- 採用数は業績に応じて決定していた。
A社で起こった問題
- 年齢構成がいびつである
- 将来を担う若手社員が不足している
- ミドル社員、スタッフ管理職が多すぎる
- 上級管理職が不足している
B社:人件費と業績が連動していない
B社の状況
- B社では、月例給が年齢給、職能給、役職手当で支払っており、その他に様々な諸手当があった。
- 昇格による動機づけをするために、等級を細かく分け、役職を多数設けていた。
- 低業績の社員の減給、降格などの措置がとられていなかった。
- 決算と賞与支払い時期が異なるため、支払い原資を上手く決算と連動させられていなかった。
- 成果評価(目標管理)は導入しているものの、業績との連動が弱い役職、職種があった。
B社で起こった問題
- 賃金がコントロールできない
- 人件費と業績が連動していない
ポイント
- 賃金体系が複雑であると、賃金コントロールが難しい。
- 等級数が多いと、等級間の違いが説明しにくい。つまり、降格基準を説明しにくい。
- スタッフ管理職や副●●、●●代理といった役職をむやみに増やすと人件費が増大する。
C社:現場が人事制度を活用していない
C社の状況
- C社では、評価制度と賃金制度は明確だったが、等級制度は曖昧であった。
- 教育制度=研修となっていた。また、研修に等級、評価の要素が組み込まれていなかった。
- 評価制度は考え方、スキル、知識の3つであり、日々のマネジメントツールとして活用しにくいため、現場は半年に一回しかみないものになっていた。
- 部署間で評価項目が異なると不公平感になるという理由で、全部署で同じ評価項目を採用していた。
C社で起こった問題
- 現場が人事制度を正しく理解していない
- 現場が人事制度を活用していない
ポイント
- 日常のマネジメントで対象となるのは、成果、行動であり、業務委任による経験である。
- スキルそのものはマネジメントしていない現場が多い。
- 評価項目の汎用性が高すぎると、現場では形骸化する。実際の職務は部署、職種ごとに異なる。
D社:方針と人事制度が連動していない
D社の状況
- D社では、数年前に成果主義に変更しており、主な評価は目標管理(MBO)であった。
- 目標管理では、管理職はP/L、B/Sなどの最終成果、非管理職は成果までのプロセスを評価項目として設定していた。
- 創業家が経営を担っており、代々、経営理念を大切にしてきた。(顧客感動、地域共生)
D社で起こった問題
- 経営理念と人事制度の考えが合致していない
- 戦略が評価制度に反映されない
ポイント
- 目標管理の項目は、最初に、「中長期的な成果」と「短期的な成果」で枝別けするべき。
- D社では、P/L、B/Sに重きを置き過ぎた結果、誰も中長期的な成果(戦略の対象)に責任を負っていない制度になってしまっている。
E社:方針変更に人事制度が追いついていない
E社の状況
- E社では、10年に1度のページで人事制度を改訂してきた。
- 一方で、中期経営計画の策定スパンは2年単位である。
- 経営計画に応じてダイナミックに組織変更を行うことが多く、1~2年で人事異動が行われてきた。
- 特に人事異動や役職変更は、部長以上の経営幹部で頻繁に行われた。
- 組織体制に応じて役職を任免してきたため、抜擢人事になることも多かった。
E社で起こった問題
- 方針と制度が連動しなくなった。
- 昇降格、昇減給の基準が曖昧になり、減給、降格措置がとれなくなった。
- 様々な役職が乱発され、賃金の整合性がとれなくなり、人件費が高止まりした。
- どの役職・等級に、どの評価項目・賃金テーブルを適応すれば良いか整理ができなくなった。