問題解決が上手くいかない理由

こんにちは。株式会社PISのブログからお届けしています。

問題解決のフレームワークに沿って、論理的に解決策を導いたとしても、問題解決がうまくいかない事はよくあります。人の感情、経験や立場が、問題解決のハードルになってしまう。ビジネスの現場ではよくあることです。

そこで今回は、問題解決がうまくいかない理由とその対応策について考えていきます。

1.立場で原因分析が異なる

事例で考えてみます。

Aさんは設計部の社員です。設計部にはAさんのほかに、上司、先輩社員がそれぞれ1名ずつ在籍しています。Aさんはこのところ残業が多く、毎日終電で帰っている状態です。

事実は、残業が多く毎日終電で帰っているということだけなのですが、それぞれの立場で考えが異なることがよくあります。例えば以下のようなものです。

上司の原因分析
Aさんは仕事の段取りが悪い。スキルや知識の学習が足りない。だから仕事が早く終わらないんだ。

Aさんの原因分析
上司がいつもギリギリで仕事を振ってくるのでうまく段取りができない。早く帰れないのは上司のせいだ。

先輩社員の原因分析
1人で仕事を抱え込まずに色々と相談してくれたらいいのに。早く帰れないのは、周囲に仕事を依頼することができないからだ。

どの分析も間違いとは言い切れませんが、立場によって考えが違うため、問題解決がうまく前に進みません。

こうした立場の違いを乗り越えて、問題解決をうまく前に進めるためには、目標、現状、問題について皆で共有することが不可欠になってきます。

立場による視点の違い 課題設定・解決力 向上研修

 

2.周囲を上手く巻き込めない

今のビジネスでは、周囲と協力をして複数人でタスクをこなしていくことが多いと思います。問題解決も1人で進められない場合が多々あります。

したがって問題解決のプロセスは2つの段階に分けて考える必要があります。解決策を考えて終わり、ではなく、その後に提案、説得、実行、検証というさらに4つのプロセスが必要になってきます。

全体像 課題設定・解決力 向上研修

「問題の解決策を上司に提案しても、なかなか通らないのですが、どうしたらよいのでしょうか?」

問題解決研修をしていると、このような質問をよくいただきます。解決策は良い内容であっても、説得の仕方がうまくなければ問題解決を前に進めることができません。

説得の仕方については以下の3点でチェックをすると良いと思います。アリストテレスが著書「弁論術」で取り上げた視点です。

  • エトス(人柄):話し手の人柄による説得
  • パトス(感情):聞き手の感情に訴えかける説得
  • ロゴス(論理):理屈による説得
アリストテレス
紀元前384~紀元前322年。古代ギリシャの哲学者。多岐にわたる研究の業績から「万学の祖」と呼ばれる。

 

エトス(人柄)

仮に解決策が論理的かつ周囲の感情に働きかけるものであったとしても、提案者の人柄に問題があり周囲の信頼を勝ち得ることができていなければ、やはり問題解決は前に進みません。

普段の信頼関係が、問題解決に大きく影響を与えてしまいます。

  • 普段上司の指示をしっかりと聞いているか
  • 周囲との約束、例えば仕事の納期であったり、時間を守ることができているか
  • 人や会社の問題についてとやかく言う前に、自分自身の課題について真摯に取り組んでいるか
  • 日ごろから周囲に対して批判的なことばかり言ってしまっていないか

こうした小さな信頼関係の積み重ねを意識することで問題解決を前進させることができます。

 

パトス(感情)

人は感情の生き物です。たとえ論理的に正しいことを言っていたとしても、聞き入れるのが難しい表現方法を使ってしまうと問題解決は前に進みません。

  • 上司や周囲の人が意識している問題を共有しているか
  • まずは上司や周囲の人の考えを先に聞いているか
  • 言葉遣いは適切であるか
  • 上司や周囲の人が決済できそうな範囲の問題であるか

とにかく、まずは相手の考え、感情に配慮をして説得を進めていくことが重要になります。

 

ロゴス(論理)

相手に正しく伝えて納得してもらうためには、論理も一定程度必要になってきます。エトス(人柄)やパトス(感情)に比べれば、ロゴス(論理)のハウツー、考え方はかなり普及していると思いますが、おさらい。

  • 論理的に体系立てて説明できているか
  • 顧客の声や統計データなどを客観的な情報を用いているか
  • 具体的な事実の積み重ねで伝えているか
  • 口頭でなんとなく伝えるのではなく、書面でまとめて伝えることができているか
  • しっかりと時間をとって落ち着いた環境の中で話し合うことができているか

問題解決の実行段階では、これらの説得のハウツーが重要になってくることがあります。

 

3.習慣や経験が邪魔をする

人は固定概念でものを考えてしまうことがよくあります。固定概念が良くないものだと思っていても、過去と同じやり方でうまく済ますことができるのであればそのほうが楽であるため、どうしても固定概念に流されてしまうのです。

固定概念を無くす事はとても難しいことですが、その概念ができあがる要因を知っておくことで回避できることがあるかもしれません。

偶発的要因 「たまたまうまくいった」というだけで習慣化されたもの

体験的要因 「いつも自分がしていた」というだけで習慣化されたもの

前例的要因 「すでに誰かがしていた」というだけで習慣化されたもの

自分が考えた問題解決の内容が、これらの要因に依存していないか、一度見返してみると良いかもしれません。

 

4.一度のチャレンジで諦めてしまう

問題解決には簡単なものもあれば、解決が非常に難しいものもあります。

誰しもが気づいている問題であるにも関わらず、ずっと放置されている問題の中には、過去にいろいろな先人たちがチャレンジをしてきたが、結果的に解決できなかった問題というものもよくあります。

そうした難易度が高い問題について、一度のチャレンジでは解決しないこともあるのではないでしょうか?

精神論になってしまいますが、本当に問題解決をしながら会社を良くしていこうと思えば、一度であきらめるのではなく何度もチャレンジしていく。そうした心構えも必要であると思います。

 

5.まとめ

問題解決には、論理だけではなく人の感情や立場、過去の経験といったものも要素として存在しています。

論理を磨くと同時に、周囲の巻き込みを行うことで問題解決の実行力を高めていきましょう。

 

この記事を書いた人
中川 渉
株式会社PIS(ピース) 代表取締役。石川県金沢市生まれ。大阪大学工学部を卒業。㈱日本エルシーエーに入社し、住宅不動産のコンサルタント、研修事業の事業部長、執行役員を務める。㈱SPRIXに転職し、ヒューマンリソース部長、コンテンツ開発部長、新規事業室長を務める。2013年に株式会社PISを設立し、管理職研修を中心に年間150~200回の研修講師を担当する。

 

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