提案書を効果的にプレゼンテーションするための4ステップ

「提案活動」は、社内外問わず必要とされる活動の一つです。顧客への営業提案、社内への改善提案など、提案から仕事が始まることも数多くあります。

提案活動は大きく分けると2つあります。企画を提案書という書面にまとめる活動と、提案書をしかるべき人へ伝える、「プレゼンテーション」です。

そして、提案活動をする際の一つのネックはプレゼンテーションではないでしょうか。何故ならば、日本人は学校などでプレゼンテーションについてほとんど教わる機会がなく、苦手とする方が多いからです。

ですが、プレゼンテーションは練習すれば必ずうまくなります。そして、効果的なプレゼンテーションをするのであれば、人より多く練習するよりほかはありません。

ただし、漫然と練習しても余り技術は向上しません。方法論を知って練習する人と、そうでない人の間には練習の効果に大きな違いがあります。今回は、それをご紹介させて頂きたいと思います。

題材としては、

1週間後に重要な取引先に向けて、当社の提案のプレゼンテーションを行うことになった。競合は3社、持ち時間は各20分ずつ

というシーンを想定します。
 

STEP1 プレゼンテーションの目的を知る

このケースにおいて、「このプレゼンテーションにおいて、何を目的とすべきですか?」と問われたとき、あなたはどう答えるでしょう?

「受注」と答えても良いのですが、もう少し分析すれば、プレゼンテーションには節目に目指すべきゴールがいくつかあることがわかります。そのゴールをすべてクリアしたとき、あなたは「受注」を獲得できます。

では、そのゴールとは何でしょう。それは、以下の3つです。

  1. 課題の共有と、提案の差別化
  2. 費用対効果と、スケジュールの伝達
  3. 相手の疑問の解消

逆に言えば、上の3つはどんなプレゼンテーションであっても必要です。これらを順番にクリアすることで、最後に「あなたの言うことは説得力がある」と、相手に思ってもらえるのです。

したがって、提案書に上の3つがきちんと書かれているかどうかをチェックしましょう。これらが網羅されていない提案書はプレゼンテーションの前にすでに「ダメな提案書」です。

 

STEP2 課題の共有と、提案の差別化を図る

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提案の多くは、相手の課題を解決する案を提示するためのものです。しかし、提案において失敗の多くを占めるのが、「課題に対する認識の相違」です。これがうまくいかなければどんな提案も聞いてもらえません。

例えば、顧客はあなたの提案する営業支援システムの導入によって「見込顧客の獲得」という課題を解消したいと考えていたとします。しかし、あなたの提案が「営業の効率アップ」をテーマに行っていたとすれば顧客は「なにか外しているな…」と思うでしょう。

そして、「課題」は、顧客の中で完全に共有されているわけではありません。

担当者は「営業の効率アップ」と思っていても、トップは「見込顧客の獲得」と思っている、なんてことは日常茶飯事です。ですからプレゼンテーションにおいては、相手の反応を見つつ、そのギャップを埋めていく必要があります。もっと言えば、相手の反応を見ながら、「最も相手に響く言葉」を意図的に選択していく必要があります。

そこで有用なのが、「課題の認識については、こちらでよろしいですか?」という問いかけを、プレゼンテーションの最初の段階で行ってしまうことです。欲を言えば、一番最初のページで「ご依頼の内容と、課題の共有」というページを作って、相手に問いかけます。

「ご依頼の内容と、御社の考える課題は、こちらでよろしいですか?」

と最初にすり合わせをしておけば、後のページで「この解決策は外しているな…」と思われることを防ぐことができます。万が一表現などに問題があった際は、顧客の使った言葉を借りて、最後までプレゼンテーションします。

このステップは「他社との差別化」を行う上でも非常に重要です。

なぜならば、顧客が最も重要視するのは「奇抜なアイデア」ではなく、「どれだけウチのことがわかってもらえているか」だからです。「あなた達のことは、ウチが一番良くわかっていますよ」とアピールし、的確な解決策を提示するのが、最も差別化する上で重要な事です。

 

STEP3 費用対効果と、スケジュールを現実感を持って伝える

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多くの場合、プレゼンテーションにおいては「費用」は示されますが、「費用対効果」はあまりうまく示されません。

費用を示すだけであれば、「割り当てられた予算」の中だけで話が終わってしまいますが、「費用対効果」を示せば、顧客は新しい予算を組む可能性もあります。

したがって、費用を提示する際は、必ず「得られるメリット」をまとめた上で、費用を提示しましょう。常に数値化する必要はありません。「営業の効率」などはある程度数値化できますが、「営業部の活性化」といったケースは数値化できないからです。

いずれにせよ、具体的には「この提案で得られるメリット」と、「費用」を資料の同一のページに表現し、プレゼンテーションはこの2つを比較することで行います。

また、最後の詰めとして、スケジュールの提示方法は極めて重要です。なぜなら、ここで「我々と彼らの仕事の分担」が示されるからです。ここで躓くと、「机上の空論」というレッテルを貼られかねません。できれば相手に係る負担を「工数」という形で示します。

  • プロジェジェクトリーダー ◯人日/月
  • メンバー ◯人日/月

といった形で示します。ざっくりと示すだけでも十分価値があります。現実的なスケジュールを見てはじめて、顧客は最終的な費用感と、自分たちの工数上の負担を吟味することができます。

ここまできっちりとプレゼンテーションを行えば、すでに他社の提案は比較対象とはなりません。

「あなた方か、他社か」ではなく、
「あなた方の提案をやるか、やらないか」という2択になります。

 

STEP4 疑問の解消を行う

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プレゼンテーションに質問時間を入れていない方がいますが、プレゼンテーションは「質問を受け付けて」初めて完成します。

非の打ち所の無いプレゼンテーションは存在しません。また、表現ひとつとっても顧客が誤解をしている可能性もあります。そこで、必ず質問を受け付ける時間を取ります。この時の注意点は「質問時間は長めに取る」ということです。

例えば、20分間のプレゼンテーションであれば、7分程度の質疑応答時間は必要です。大体全体の3分の1程度は、質疑応答に当てても良いくらいです。

プレゼンテーションに対する疑問は、後から解消するよりもその場で解消するほうがずっと簡単で、説得力があります。ギリギリまで時間を使ってしまうようなプレゼンテーションは、「失敗」と思って構いませんし、質問が出ないプレゼンテーションも、「失敗」です。

繰り返しになりますが、「質問を受け付けて」初めてプレゼンテーションは完成する、ということを意識しておきましょう。

 

まとめ

提案書は書けても、プレゼンテーションは上に書いたように、別の能力が必要とされます。

そして、現場で慌てずプレゼンテーションを行うための唯一の方法は、リハーサルを必ず行うことです。

想定される課題認識のズレや、工数の計算の認識、そして、質疑応答まで一連の流れのシミュレーションをきっちり行うことが、プレゼンテーションの成功の秘訣です。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。