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自分で考えることができない部下を育てるための4つのステップ

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管理職をしていると、手のかかる部下の育成に悩んだりするものです。中でも、「自分で考えることができない部下」の育成が大変ですよね。

こうした部下に指示を出すときには、事細かに指示をしなければなりません。最初は親切に教えるのですが、段々と面倒になってきて「自分でやったほうが速い」とか「ちょっとぐらい自分で考えろ!」と言ってしまいたくなります。

いつまで経っても思考業務ができない部下には困ったものですが、思考業務を任せることができなければ、上司が手取り足取り指導しなければなりませんから、この点は部下育成において管理職がクリアすべき最初の課題であるとも言えます。

「いつまで経ってもプレイヤーから抜け出せない管理職」を卒業し、「マネジメントができる管理職」になるためには、どのように思考業務を任せていけば良いのでしょうか。4つのステップに沿って、考えていきます。

1.上司が選択肢を持っていることを理解させる

皆さんは上司から「自分で考えろ!」と言われて、「上司はどう考えているのだろうか?」と思ったことはありませんか?これぐらいなら可愛いものですが、上司との信頼関係が弱い場合は「上司はちゃんとした答えを持っているのだろうか?!」と考えてしまう部下もいると思います。

「考えろ!」と言われた瞬間から、感情が邪魔をして思考が停止してしまう。

こうした事態を避けるためには、一度、高いレベルで思考業務をやって見せることが有効です。やって見せておけば、「上司はあえて思考業務を任せてくれているんだ」と部下に受け止めてもらうことができます。

思考業務においても、上司に、任せる/任せないの選択肢があることを理解させる必要があります。

もちろん、単純にお手本を見せるという意味でも効果的です。思考は目に見えませんから、どのように思考したのかを紙に書き出して見せると、より教育効果は高くなります。

 

2.考えるための切り口や手順を共有する

思考業務が得意な人は、考えるための切り口や手順を持っています。大きな質問、漠然とした質問では思考が進まないため、自分の教訓、持論をもとに質問を細分化して考えることで、突破口を開いていきます。

一方、思考業務が苦手な人は、この細分化が上手にできません。細分化するための切り口や手順を共有することで、思考業務を前に進めるよう促していきます。

考えるための切り口を指導する方法は、2つあります。

 

1)経験から得た気づきを、教訓・持論としてまとめさせる

私たちは、経験を重ねる中で、その中で得た気づきを振り返り、教訓・持論として活用することができます。

経験 → 省察(自分で振り返る) → 概念化(教訓・持論化) → 試行(新たな経験)

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このサイクルを経験学習と呼びますが、思考業務が苦手な方は、このサイクルを回すときの精度が低い傾向があります。漠然とした振り返りしかしないため、いつまで経っても教訓・持論が積み上がっていかず、自分なりの切り口を持つことができないのです。

経験しっ放しにならないように、上司がサポートすることで、少しずつ思考力を上げていきます。部下の振り返りに付き合うのは時間がかかりますから、最初は大変かもしれませんが、経験学習のサイクルが上手くまわり始めると、上司の仕事が「考えさせること」から「経験を積ませること」にステップアップしていきます。

大切なことは、振り返りを行う際に、指摘やフィードバックを行うのではなく、我慢強く質問し考えてもらうことです。答えを提示してしまうと、それが単なる指示に聞こえてしまい、上手く持論化できないことが多いです。

「考えろ!」より、少し難易度を落として、「やってみてどうだった?」を繰り返していくということです。

 

2)他人が考えた教訓・持論を提示する

思考力を上げるためには、経験学習の精度を上げることが王道ですが、やはり時間がかかる。ときには、ショートカットすることも必要かもしれません。

他人が考えた教訓・持論、今風に言えばフレームワークを先に提示してしまい、フレームワークに沿って細分化して考えるよう促します。提示するフレームワークは7W2H1G(5W1H)など、汎用性が高く、どの業務でも共通で使えるものが好ましいでしょう。

ただし、フレームワークの乱用は避けたいところです。どうしても「パズルに当てはめて考える」ようなところもあるため、本質的には思考力強化につながっていないとも言えます。あくまで補助輪として使うぐらいの感覚が丁度良いです。

蛇足ですが、会社全体の経験を教訓・持論化したものを、社訓と呼びます。組織力が強い会社は、暗黙知・形式知を問わず、様々な社訓を持ち共有しているため、社員1人ひとりが自分で考えて動くことができます。

 

3)経験学習に訓示を織り交ぜる際は慎重に

1)と2)の合わせ技もあります。経験学習において振り返りをする際に、上司自身の教訓・持論を提示するというものです。一般的にはこの方法を採用している方が多いと思います。

しかし、この方法が部下の思考力を上げることにつながるのか、よく考えておく必要があります。

折角、部下自身が経験から学ぼうとしているときに、上司が答えを言ってしまうと、部下の考える余地が少なくなります。訓示は指導上欠かせないものですが、部下が自分なりに整理するのを待ってから行うべきです。ちゃんと振り返らせる、ということです。

経験学習において、上司の訓示の長さと、部下の思考力は反比例の関係にあると思います。

尚、上司と部下が共同で業務を行い「同じ経験」を共有した場合は、経験学習も共同作業になりますから、上司が先に教訓・持論を述べることに大きな問題はありません。上司の振り返りの仕方が、部下の参考になるでしょうから。

 

3.部分的に考えさせる

思考業務は大きく3つに分類できます。

  1. 目的を考える
  2. 目標を考える
  3. 計画・手段を考える

部下に全てを考えさせるのではなく、思考業務を分類してしまい、部分的に考えさせるというやり方です。

基本的に、1)→2)→3)の順で難易度が高いため、3)計画・手段について考えさせる、から始めると良いでしょう。その場合、目的や目標は上司が考えて部下に伝えるようにします。

大切なことは、上司自身が「どこを考えさせたいか」、明確な自覚を持った上で部下に考えさせることです。考えろ!と言っている当人が考えていないというのは洒落になりません。こうした自覚がない上司に限って、後追いで「目的は何?」「目標が曖昧だ!」「具体的に考えろ!」などと、適当なことをしたり顔で言いがちです。

 

4.気持ちだけは丸投げしない

部下が思考業務に慣れてくると、「考えておいて!」「やっておいて!」で仕事が回り始めます。つまり、丸投げでOKになっていきます。

ただし、「気持ち」も一緒に丸投げしてはいけません。上司が自分(部下)の業務に関心を持っていないことに気づいてしまうと、部下の思考は瞬く間に停止します。

部下に対する期待や労いの言葉は、忘れないようにしたいところです。

 

5.まとめ

これまでにみてきた4つのステップを簡単にまとめると、以下のようになります。

  1. やって見せる=モデリング(modeling)
  2. 手助けする=コーチング(coaching)
  3. 部分的に任せる=スキャフォールディング(scaffolding)
  4. 離れる=フェイディング(fading)

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ご存知の方も多いと思いますが、このステップを認知的徒弟制と呼びます。人材育成のステップとして有名な考え方ですが、思考業務について教える場合にもこのステップは有効です。

管理職の仕事は、部下を育成することです。単に「考えろ!」と突き放すのではなく、管理職もよく考えてから「考えろ!」と言うことが大切であると思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。
 
・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/wataru.nakagawa.18(フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします)

 

この記事を書いた人
中川 渉
株式会社PIS(ピース) 代表取締役。石川県金沢市生まれ。大阪大学工学部を卒業。㈱日本エルシーエーに入社し、住宅不動産のコンサルタント、研修事業の事業部長、執行役員を務める。㈱SPRIXに転職し、ヒューマンリソース部長、コンテンツ開発部長、新規事業室長を務める。2013年に株式会社PISを設立し、管理職研修を中心に年間150~200回の研修講師を担当する。

 

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