皆さんの職場にはボスザル上司がいますか?
ボスザル上司とは、例えばこんな上司のことです。
全てにおいて許可を求めてくる。
「何勝手に決めてるんだ!」
※今のところ、ボスザルは雄であることが多い
やたら上から目線であり、自分の「凄さ」を随所でアピールしてくる。
「何でできないのか、俺にはよくわからん…」
※こうした行為を、巷ではマウントポジションと呼ぶ
会社を去る人間に対して、冷淡。
「功労者でもない社員の送別会なんて要るの?」
このように、お山の大将よろしく、職場に自分カラーを押し付ける上司。そんなボスザルがどこの会社にもいるものです。
ボスザルたちの横暴を放置すると、そのカラーに馴染めない社員の士気を下げるだけではなく、最悪の場合は、その猿山を見限り去っていく社員が多数でてきます。
そこで、今回はボスザルの生態を探り、今後の猿山の平和と発展のために一石を投じるために書いてみたいと思います。
かくいう私自身、サラリーマン時代に、少なからずボスザル的要素を持っており、会社を去っていく若手をつくってしまったことがあります。自戒の念を込めて。
●ボスザルの特徴
ボスザルの特徴は以下のようなものです。
- 支配欲がやたら強い
- 何でも自分で決めないと気がすまない
- 常にマウントポジショニンをとりたがる
- 逆らうと容赦ない
- 自分の手下ザルには優しい
- 隣山のボスザルや手下ザルとよくケンカする
- 声や体が大きい、体育会系出身者に多い
そして、一番厄介な特徴は「面倒くさい」ということ。
部下のちょっとした発言に対して、いちいち注文をつけます。小さなやりとりについても、いちいち関わろうとしてきます。プライドが高いため、反論しようものなら、執拗に攻撃してきます。
存在を無視できれば良いのですが、相手が上司であるため、それも難しい。
悶々とした日々を過ごす部下たちの気も知らず、猿山で「ウホウホ」と雄叫びを上げます。なぜか、ボスザルの多くは毎日元気いっぱいであるため、部下たちはさらにゲンナリした気分になります。
なかなかに迷惑な存在ですが、彼らはどうしてそんな風になってしまうのでしょうか。
●ボスザルはなぜ生まれるか
本来であれば、ボスザルの横暴を阻止するのは、ボスザルの上司にあたる人間の仕事です。
ボスザルの目をかいくぐり、自分からみて、上司の上司にあたる人間に働きかけて、きちんとボスザルを調教してもらう。
これで解決することもありますが、多くの場合、上手くいきません。なぜなら、ボスザルの上司もまた、ボスザル型であることが多いからです。
これがボスザルが生まれる根本要因です。
職場では我が物顔で振る舞うボスザルも、より大きな組織図でみた場合、誰かの手下ザルであり、ボスザル自身、過去にマウントポジションをとられた経験や、現在進行形でマウントポジションをとられているのです。
今の猿山はようやく手にした地位であり、「次は俺の番だ!」という心理が働きます。
そして残念ながら、ボスザルは、この心理状態を自覚することができていません。自覚できていれば、振る舞いを変える努力ぐらいはするでしょうから。
では、上司の上司が機能しない場合、どうすれば良いのでしょうか。
●ボスザルへの対策
1.違う猿山に行く
社会は転職行為に対して寛容になってきており、むしろ、ひとつの会社に長くいることのほうが珍しくなってきました。
この対策は以前よりコストは下がりましたが、リスクは残っており、それは転職先にもボスザルがいるかもしれないということです。そして、ボスザルの存在は外からでは判断しにくいです。
経営トップが横暴なボスザルである場合は、ネットなどのメディアでその実態が炙り出されることもありますが、組織内に点在する「小さなボスザル」までは把握できません。
昔より生息数は減ってきていますが、依然としてボスザルの生息範囲は、かなり広いと考えておいたほうが良いと思います。
2.はぐれザルになる
フリーランスとして働くことは、かなり現実的になってきています。フリーになってしまえば、猿山の変なルールに縛られることもありません。
また、以前であれば、フリーランスは珍しい存在であったかもしれませんが、今や多数存在しており、コミュニティなどもあるため、1人で寂しい思いをすることもありません。
自分の腕に自信があれば、それも悪くありません。
ただし、そういったコミュニティにも、一定確率でボスザルは出現するでしょう。コミュニティ活動に没頭するようであれば、結局のところそれは猿山であり、会社員ほどのストレスはないにしても、似たような状況が起こり得ます。
ある程度、孤独に耐える強さが必要になるでしょう。
3.ボスザルを倒す
力をつけて、下剋上をする。実力主義の会社では、よく起こっている現象です。
ただし、戦国時代とやっていることが変わりませんから、いつかは自分も倒される可能性があります。そして、ボスザルはこうしたところに多数生息する傾向があります。自分自身がそうした風土を作る側に回っていないか、注意が必要です。
また、実際にやってみればわかりますが、野生の猿がそうであるように、ボスの座を追われた社員は、元気がなくなるか、会社を離れる傾向があります。ボスザルがプレイヤーとして優秀である場合は、全体の戦力ダウンにつながります。
下剋上も悪くありませんが、何のためにやるのか、よく考える必要があるでしょう。
4.手なずける
ボスザルの行為は、その多くが「ボスザルとして認知して欲しい」という欲求に基づいています。特に、ボスザル自身が誰かの手下ザルである場合、その欲求は強いものになります。
「貴方がボスです」というメッセージを明確に発すると、簡単に手なずけることができます。単なる「ヨイショ」でも、それなりの効果を発揮します。
恐らく、ボスザル問題を抱える人の多くが、「ボスザル型上司を認めたくない」という気持ちを持っていると思います。ボスザル側もそれを機敏に感じ取り、お互い悪循環に陥っていきます。
感情的には納得できないかもしれませんが、はっきり言えば、これが一番コストが低い対策で、上手くやればマウントポジションを発動される回数が激減し、仕事を任せてもらえるようになります。
ただし、手なずけるだけになってしまうと、ボスザルの成長が止まるというデメリットは存在します。当然、チーム全体の成長に影響を及ぼします。
5.良いボスになるよう、自分で育てる
皆の前ではボスとして認知し、ボスザルからの信頼を得ておき、一方で、ボスザルと1対1で話すときには、遠慮なく提言していくことで、良いボスになるよう働きかけるというものです。
今風に言えば、フォロワーシップを発揮するということです。単に「ヨイショ」をするのではなく、方針に対して貢献する。一方で、影で批判するのではなく、ときには1対1で強く提案を迫る。
上手くやれば、ボスザルも部下もハッピーになり全体最適を得られます。
フォロワーシップによって上司を育てるのは、非常に根気が要る作業で、書籍や研修で言われているほど簡単ではありません。上司との議論が白熱することも珍しくありません。
しかし、信頼している部下からの一言は、誰から言われるよりも心に刺さるため、その効果は大きいです。
●まとめ
ボスザル型上司の生息数は激減したと認識していましたが、友人や研修参加者から聞く限り、まだまだ広く生息しているのではないか、との思いから今回の記事を書いてみました。
もちろん、ボスザルが自ら内省し、器を大きくする努力をしてくれるのが一番ですが、そのきっかけは、部下からの一言であることが多い気がしています。
ボスザル問題に悩む皆様の、ご健闘と楽しいビジネスライフを心から応援しています。
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