やりたいことが見つからない……そんな声を、若手の方々からよく聞きます。
おそらくそういった人は、
「やりたいことをやっている人は楽しそうだ」
「やりたいことをやれば、モチベーションが上がるはず」
「やりたいことを仕事にできるのがよい人生」
などと思っているかもしれません。
しかし現実的には「やりたいことがない・よくわからないので困っている…」「今の仕事を疑問を持ちながらもこなしている…」そういった方が多いのではないでしょうか。
そこで本稿では若手の方々向けに「やりたいことを見つけるにはどうすればよいのか?」について少し書いてみたいと思います。
1.やりたいことは、成長するとわかる
実は、私も今から15年前に、当時の先輩に同じ質問をしたことがあります。
「やりたいことって、どうすれば見つかるんですかね?」と。その先輩の答えはこうでした。
「今わかってないってことは、もっと成長して、世の中を知ったらわかるんじゃないかな。」
その答えは本質をついていました。
つまり、やりたいことがない人は「今の私ではわからない、知らないこと」が「私のやりたいこと」の可能性が高いのです。
「今のキミの中にある選択肢の中にはない、だが、時が来たら自然にわかる。」そのように先輩は最後に言いました。
その予言通り、ちょうど10年後、私は自分のやりたいことをようやく理解しました。
その時を振り返ると、当時の私にやりたいことがわかるはずありませんでした。
なぜならば、当時の私はあまりにも無知で、自分がなにが得意であるかもわからず、何に喜びを感じるのかも知らず、そして漫然と「なんとなくかっこいい職業」にあこがれていたのです。
2.私がやりたいことを発見したきっかけ
私が「自分のやりたいこと」を発見したきっかけは、ある一つの仕事です。
働き始めてから10年目、私はあるプロジェクトのマネジャーで、商品の開発からマーケティング、販売までをチームで行っていました。
「普通に売りだしても我々の想定する顧客にリーチ出来ないだろう」という予想から私は雑誌に商品のことを取り上げてもらおうと、雑誌の編集者に直接お会いし、雑誌で紹介してもらうよう行脚しました。
編集者により反応は様々だったものの、ほとんどの編集者はこのように言いました。
「商品を直接紹介はできないけど、事例を含めたノウハウ記事を連載してくれたら、その中で自分たちのサービスを紹介していいよ。それなら原稿料も出すよ」と。
私はそれまで、本を何冊か共著で書いたことはありましたが、それらは会社の商材について書くもので、私の生み出したノウハウや見聞きしたことをメディアの購読者向け、しかも連載で書くことは初めてでした。
ですが、せっかくのお話を断るわけにはいきません。原稿料もいただけるというのです。
私はチャレンジをすることにしました。
が、それほど世の中は甘くありません。
最初に原稿として提出した記事は、編集者から見れば稚拙なものだったとおもいます。真っ赤に訂正されており、何回もの書き直しが必要なほどでした。
その際に編集者から言われたことは集約すれば「購読者が知りたいことを、できるだけ簡潔に、具体的に、エピソードを交えて、驚きを持って捉えられるように書け。読まれなければ記事は意味がない」ということでした。
これにはかなりの時間を費やしました。実際、当時はその原稿を一つ書くだけで、丸一日が潰れてしまっていたのです。
ですが、リーダーとして弱音を吐くわけには行きません。原稿を仕上げ、ようやく雑誌が送られてきた時には大きな感動がありました。
しかも、それだけではありませんでした。「非常にためになった」「面白い記事だった」と、多くの反響まで頂いたのです。それらの記事はwebにも転載され、雑誌よりもさらに大きな反響をいただきました。
私はこの時、「つらかったけど、メディアは本当に面白い、自分の知らない人まで喜んでくれる。しかもwebは想像もつかないほど多くの人に届く。もっとやってみたい」と思ったのです。
3.「やりたいこと」の発見について得られた教訓
上の話から得られる教訓は何でしょう。私は大きく3つあると思います。
1)思いもよらない事から「やりたいこと」を発見した
まったく別のプロジェクトの一部だったはずの「メディアへの寄稿」が、やりたいことを教えてくれた。
2)やってみないと面白さがわからない
頑張ってやってみるまで、面白さはわからなかった。不慣れな記事書きも、繰り返すことで上達する。上達すれば、必然的に面白くなる。
3)結果が出ると面白い
上達するだけではなく、結果までついてくれば更にやりたくなる。それはつまり「得意なことに集中する」ということであり、人生の戦略そのものである。
従って上のように「やりたいこと」は「色々チャレンジしてみて、面白くてうまく行ったこと」になることがほとんどです。
4.やりたいことを見つけるためのチェックリスト
教訓をチェックリストに置き換えると、以下のようになります。
同じことを繰り返していても、新しい発見はない。
■ 結果にこだわっているか?
結果にこだわらなければ、真の面白さはわからない。
■ 様々な人に会っているか?
意外な巡り合いが、「やりたいこと」を教えてくれるかもしれない。
■ 様々な場所に行っているか?
意外な場所が、「やりたいこと」を教えてくれるかもしれない。
■ 会社以外の交流を持っているか?
同質性の高い集団の中では、「やりたいこと」の選択肢が必然的に少なくなる
■ お金を稼ぐ方法を知っているか?
「やりたいこと」が見つかっても、生活の資がなければ「やりたくても出来ないこと」になってしまう。
「やりたいこと」を子供の頃に見つけてしまう人もいれば、老人になってようやく見つける人もいます。
それはいわば「出会い」です。
「やりたいこと」はパートナー探しと同じように、ある日偶然出会うものです。
ですから、オープンに、広く、活発に動けば、自ずとやりたいことは見つかるでしょう。