採用力強化や社員のエンゲージメント向上、賃上げへの対応など様々な理由から賃金制度の構築を検討している企業は多いかと思います。
いざ賃金制度を作ろうと思っても、何をどこから作ればいいのかとお悩みの経営者もいらっしゃるでしょう。
本記事では、「賃金制度をゼロから設計する」という中小企業の経営者に向けて、賃金制度の基礎知識と、設計ステップについて17個の表と図で、解説していきます。
会社の方針に合い、社員の納得感につながる制度づくりにお役立てください。
ー 目次 ー
1.賃金制度の目的とメリット
(1)賃金制度の定義と目的
賃金制度とは、「会社が社員に対して支払う基本給や手当、賞与を、どのような考え方やルールで決めるのかを明らかにした仕組み」のことです。
賃金制度を整える目的は、社員の貢献度・成長度の対価を明確にし、それを社員と共有することです。
社員一人ひとりの給料を経営者の感覚やタイミングで決めていては、どうしても不公平感や不信感がでてしまいます。
賃金制度を導入することで、「この仕事ならこのくらい」「この成果を出せばこのくらい」といった共通のものさしを会社と社員で持てるようになります。
(2)賃金制度のメリット
➀モチベーションやエンゲージメントの向上
賃金制度に透明性・公平性・会社の方針との一貫性(整合性)があれば、社員の納得感や信頼が高まり、自然とモチベーションやエンゲージメントの向上にもつながります。
➁採用力と定着率の強化
また、賃金制度の内容や方針がしっかり示されていれば、それに共感する人材から「この会社なら安心」と選ばれやすくなります。このように企業の考え方に合った人材を採用しやすくなり、ミスマッチの少ない採用や定着率の向上につながります。
➂人件費管理の安定化
さらに、制度に基づいて賃金を決めることで、属人的な判断が避けられ、中長期の人件費予測が可能になるというメリットもあります。
この3つのメリットは、中小企業にとって、安定した経営基盤を作るうえでも非常に重要なポイントです。
2.賃金制度の基礎知識
賃金制度は単独で存在するものではありません。「人事制度」という大きな枠組みの中の一部として位置付けられています。
ここでは人事制度の全体を整理しつつ、そのなかで賃金制度を構築する際に必要となる基礎知識について解説していきます。
(1)人事制度の全体像と賃金制度
狭義の人事制度には、「等級制度」「評価制度」「賃金制度」「教育制度」の4つがあります。これらは別々の制度に見えるかもしれませんが、実際には連動しています。
例えば、「等級によって支払う賃金額を設定する」「評価結果によって支払う賞与額を設定する」など、制度間で連動した設計が求められます。
また、人事制度は、人事ポリシーをはじめとした人事戦略に沿って組み立てます。例えば、人事ポリシーが「社員が長く安心して働けるようにすること」であれば、基本給は年功的な要素(勤続年数、年齢)で決めたり、手当は生活補助的な要素(家族手当、食事手当)で決めることになるでしょう。
<図表➀ 人事制度の全体像>
だからこそ、制度設計の際には人事ポリシーに基づいた一貫性のある視点が欠かせません。賃金制度を作る場合でも、それだけを単体で作るのではなく、等級制度や評価制度、教育制度といった関連する仕組みも合わせて見直すことが重要です。
参考:人事制度の基本とは?全体像をざっくり解説
参考:等級制度の作り方
参考:評価制度の作り方
参考:教育制度の作り方
(2)賃金制度の全体像
以下の表は賃金制度の全体像を示しています。賃金制度の具体的な設計方法について解説する前に、それぞれの構成要素について解説をします。
<図表➁ 賃金制度の全体像>
以下、賃金制度の構成要素を1つずつ解説していきます。
➀基本給の種類
基本給とは、賃金のベースとなる固定給のことを指します。
基本給の種類には、主に「年功給」「職能給」「職務給」「役割給」「業績給」があります。これらは単なる賃金の仕組みにとどまらず、会社がどのような考え方で人材に賃金を支払うかを表すものでもあります。
<図表➂ 基本給の種類>
| 基本給の種類 | 概要 | 背景・意図 |
|---|---|---|
| 年功給 | 年齢や勤続年数をもとに決める賃金です。 | 年功序列や終身雇用を前提にしています。昨今はこの前提が崩れているため、年功給を廃止する会社が多いですが、離職率が高い会社ではあえて導入しているケースもあります。 |
| 職能給 | 能力をもとに決める賃金です。チームワーク、コミュニケーションといった職種や業界を限定しない能力を基準にすることが多いです。 | 年功序列から脱却し、緩やかな実力主義を目指しています。能力は一度見につくとなくならないはずなので、結果的に年功序列が温存されるケースもあります。 |
| 職務給 | 社員が担う職務をもとに決める賃金です。職務ごとの重要度や難易度を賃金に反映します。 | 人ではなく、職務やポストを中心に人事を考えます。人材の流動化、企業のグローバル化に対応することを意図しています。単純に、担当する職務を明確化するために導入するケースもあります。 |
| 役割給 | 社員が担う役割にもとに決める賃金です。いくつかの職務をまとめて役割とし、役割の範囲や重要度を賃金に反映します。 | 職務記述書が曖昧な日本において、職務給の導入は時期尚早ということで、まずは役割による線引きを行う趣旨で導入された賃金です。役職手当と概念が重複しやすいです。 |
| 業績給 | 過去にあげた業績をもとに決める賃金です。 | 不景気が続いた時代に、年功給、職能給に対するアンチテーゼとして導入が進んだ賃金です。現在では、営業力が必要とされる業界・職種や、ベンチャー企業などが採用しています。 |
どの基本給にもメリット、デメリットがあるため、優劣やトレンドで基本給の種類を選ぶのは賢明とは言えません。会社の人事ポリシーに応じて決めることをおすすめします。
例えば、安定志向であれば年功給、能力重視ならば職能給、職務ごとの内容を重視するなら職務給が適しています。下記の表は人事ポリシーと基本給の関係を示しています。
<図表➃ 基本給と人事ポリシーの関係>
| 基本給の種類 | 人事ポリシー |
|---|---|
| 年功給 | 安定重視。社員に長く安心して働いて欲しい。 |
| 職能給 | 能力重視。社員にスキルアップをしていって欲しい。 |
| 職務給 | 業務重視。具体的な職務内容(職務記述書)を意識して欲しい。 |
| 役割給 | 役割重視。立ち位置(等級)に応じた役割を実践して欲しい。 |
| 業績給 | 業績重視。業績、成果を追及して欲しい。 |
さらに、等級制度や評価制度との一貫性を持たせることで、制度全体のバランスがとることが可能になります。
➁手当の種類
手当は基本給とは別に、一定の条件や目的に応じて支給される賃金の一部です。基本給だけでは対応できない働き方や生活状況、職務内容を踏まえて定められ、制度の柔軟性を高めます。
手当は大きく2つに分けられます。
➀法律で支給が定められている手当:時間外手当、休日手当、深夜手当など
➁会社で独自に支給要件を定めた手当:住宅手当、家族手当、資格手当など
「会社で独自に支給要件を定める手当」は基本給と同様に会社の人事ポリシーに基づいて分類することが可能です。下記の図は、「人事ポリシー」と「手当の支給目的」の関係を示したものです。
<図表➄ 手当の種類>
| 手当の種類 | 人事ポリシー |
|---|---|
| 家族手当、住宅手当、地域手当、食事手当、通勤手当、マイカー手当、結婚手当 | 安定重視 |
| 資格手当 | 能力重視 |
| 皆勤手当、早朝手当、年末年始手当、営業手当、危険作業手当、単身赴任手当、出張手当 | 業務重視 |
| 役職手当 | 役割重視 |
| 業績手当、成果手当 | 業績重視 |
本来、手当は何かしらのメッセージを社員に伝えるためにあるはずですが、かつては、基本給を低く抑えるための手段として用いられたり、社員の処遇を細かく線引きするための調整弁として用いられることも多かったです。
今一度、自社の人事戦略、人事ポリシーに照らし合わせて自社のあるべき手当について検討するとよいでしょう。
➂賞与の種類
賞与とは、毎月支払われる賃金とは別に、会社業績に応じて一時的に支払われるまとまった賃金のことです。
労働基準法では、賞与は「定期又は臨時に、原則として社員の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」と定義されています。
そのため、賞与を支給するかどうか、また金額や計算方法については、会社が独自に決めることができます。
賞与の目的は、社員の功労に報いることや、業績に応じて賞与額を調整することで人件費をコントロールすることにあります。本来の目的から外れ、業績に関わらず一定額を支給することで生活費の補填をする場合もあります。
賞与の種類は、性質で分類した場合に下表のように3種類に分けられます。
<図表➅ 賞与の種類>
| 賞与の種類 | 内容 | 支給例 | 人事ポリシー |
|---|---|---|---|
| 基本給連動型賞与 | 基本給に支給月数をかけて、全社員同じ支給月数とする。 | 全社員、基本給×2.0カ月 | 安定重視 |
| 基本給に個人評価別の係数をかける。 | A評価なら基本給×2.2カ月、 B評価なら基本給×2.0カ月 | 能力重視 | |
| 業績連動型賞与 | 会社や部門、個人業績によって評価別の係数をかける。 | 個人業績がAで部門業績がAなら、 基本給×(2.2+0.4)ヵ月 個人業績がBで部門業績がBなら、 基本給×(2.0+0.2)ヵ月 | 業績重視 |
| 決算賞与 | 決算時の業績に応じて支給する。決算後1カ月以内に支給することで、損金算入が可能になる。 | 計算式は、基本給連動型、業績連動型と同じ。支払うタイミングが異なる。 | 業績重視 |
また、賞与は原則として残業代や退職金の算定基礎には含まれないため、基本給と比べて、総人件費へ与える影響が比較的小さい点も特徴です。
➃賃金水準
賃金水準とは、会社が社員に支払う賃金の高さのことです。どんな人材にどのくらいの賃金を支払うのかを設定したものとも言えます。
賃金水準の設定には根拠が必要です。根拠がないと不満につながり、社員の納得感を得にくくなります。
根拠には外部根拠と内部根拠があります。
外部根拠:他社や採用市場との比較による根拠
採用における競争力を意識し、同業他社や同地域の賃金水準や人気職種の採用市場での水準を根拠とします。
<図表➆ 外部根拠による賃金水準の検討>
内部根拠:等級や職種、職群による根拠
住宅手当や家族手当などの手当をつけた結果、下位等級の社員が上位等級の社員を上回る賃金になるといったことがないように、等級間での賃金差を設ける必要があります。
<図表➇ 内部根拠による賃金水準の検討>
➄賃金レンジの種類
賃金レンジとは基本給のレンジ(幅)のことです。同じ等級でも社員間で実力差がある場合には等級ごとの賃金レンジを決める必要があります。
実力差がない等級や実力差は賞与で差をつける場合は、賃金レンジを設けずにシングルシートとして一律の賃金にすることも可能です。
賃金レンジの設計には4つの種類があり、下の図表は人事ポリシーに応じて、どのように賃金レンジの種類を使い分けるかを示したものです。
<図表➈ 賃金レンジの種類>
| 賃金レンジの種類 | 内容 | 人事ポリシー |
|---|---|---|
| 重複型 | 前後の等級と、賃金の幅(レンジ)が重複している型。降格時の減給ダメージが小さいが、昇格時の昇給額が小さくなりやすい。あまりメリハリをつけたくないときに採用する。 | 安定重視 |
| 接合型 | 前後の等級の、上限賃金と下限賃金が一致している型。昇格時に昇給額が大きくなりやすい。メリハリをつけたいときに採用する。 | 能力重視、役割重視 |
| 開差型 | 前後の等級で、賃金の幅に開きがある形。昇格時に昇給額が大きくなる。昇降格によるメリハリを大きくつけたいときに採用する。 | 能力重視、役割重視、業績重視 |
| シングルシート | 同じ等級の場合は、賃金が同じになる型。昇格しなければ昇給しない。差型の特徴をさらに極端にしたものになる。 | 業務重視、業績重視 |
蛇足ですが、海外のジョブ型人事(業務重視)の場合は、昇給が存在しないケースが多いようです。(ジョブが変わらなければ、賃金も変わらないのがジョブ型)
<図表➉ 賃金レンジの種類>
全社員に同じ賃金レンジを採用する必要はありません。むしろ、各階層に応じて賃金レンジを使い分けることによって、目的に沿った賃金制度を構築することができるでしょう。
尚、下位等級の賃金レンジが低めを設定している場合は、賃金レンジの下限が最低賃金を上回っているか、チェックしましょう。
参考:最低賃金は大丈夫?違反しないための計算方法と上手に賃金改定する方法
➅昇給テーブルの種類
昇給テーブルとは、どのように賃金が上がるのかを示したものを指します。評価によって昇給・降給を決める場合には、次の3種類があります。
<図表⑪ 昇給テーブルの種類>
| 昇給テーブルの種類 | 内容 | 人事ポリシー |
|---|---|---|
| 積み上げ型 | 前年度の基本給を基準として、評価に応じた昇給額を積み上げる。毎年積みあがるため、年功序列につながりやすい。 | 安定重視 |
| 収束型 | 積み上げ型の一種。基本給がレンジ内のどこに位置するかでテーブルを変える。賃金レンジの中央値に収束しやすくなるため収束型と呼ぶ。積み上げ型だと毎年人件費が上がりやすいため、収束型が考案された。 | 安定重視 |
| リセット型(洗い替え式) | 前年度の基本給に関わらず、評価によって基本給が決まる。毎年リセットされるため、リセット型と呼ぶ。 | 能力重視、役割重視、業績重視 |
<図表⑫ 昇給テーブルの種類>
➆賞与テーブル
賞与テーブルとは、賞与をどのように決めるのかを示したものを指します。評価と連動させる場合には、個人評価によって支給額を変動させる場合や、個人評価と会社業績や部門業績を組み合わせて支給額を決定させる場合もあります。
必ずしも基本給を基準にしなければならないわけではなく、ポイント制などの算出方法もあります。
賞与の決め方に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてお読みください。
参考:中小企業における賞与の決め方
参考:決算賞与の決め方~評価に基づいて賞与原資を分配する方法~
➇退職金
長期勤続を奨励するために、日本では手厚い退職金が支払われてきました。厚生労働省の就労条件総合調査によると、依然として退職金制度がある会社は多いですが、退職金制度がある企業は2003年の86.7%から2023年には74.9%と減少傾向にあり、算定方法の見直しや企業年金の導入などを行う会社も増えてきています。
新しく退職金を導入するという場合には、人事ポリシーや総人件費の面から慎重に検討したほうが良いでしょう。
➈非金銭報酬の種類と導入目的
非金銭報酬とは、給与や賞与といった金銭的な報酬とは異なり、従業員に対する報酬のうち、金銭以外の形で提供されるものを指します。これは「トータルリワード(総報酬)」の一部として位置づけられ、従業員のモチベーションや定着率を高める効果があります。
以下のようなものが非金銭報酬に含まれます。
<図表⑬ 非金銭報酬の例>
| 目的 | 非金銭報酬の種類 | 内容・例 |
|---|---|---|
| 承認・やりがい | 表彰制度 | 社長賞、MVPなど |
| マイスター制度 | 専門職の中で第一人者をマイスターとする | |
| 提案制度 | 商品提案、事業提案、改善提案など | |
| キャリア開発 | 海外留学 | MBAをはじめとした海外留学 |
| 社内FA | 他事業部、他職種への転属希望を出せる | |
| 副業 | 一定条件を満たす場合、副業を認める | |
| 仕事環境 | 在宅勤務 | 一定条件を満たす場合、在宅勤務を認める |
| フレックス制度 | 一定条件を満たす場合、フレックスを認める | |
| リフレッシュ休暇 | 勤続年数に応じて、取得できる休暇 |
3.賃金制度の作り方
ここからは賃金制度の設計のポイントを10ステップに分けて解説していきます。設計ステップは以下のようになっています。
※前半の解説をもとにしているため、後半の解説はスリムです。
<図表⑭ 賃金制度の設計ステップ>
ステップ1:人事ポリシーの定義
まずは人事ポリシーを検討しましょう。組織や社員の安定を目指すのか、能力重視の組織にするのかなど、目指す組織や人材について、外部環境や内部環境、経営方針・戦略などから決定しましょう。
人事ポリシーがどういうものかわからない場合は、以下の例を参考に、自社独自のものを検討してください。
●人事ポリシーの例
「功には禄を、徳には地位を」 …功績があるものには報酬を与え、人徳があるものには地位を与えよ、という意味で、西郷隆盛が書経から引用した言葉
「UP or OUT」 …昇格するか、でなければ会社を去れ、という意味で、外資系コンサルティング会社で昔使われた言葉
「老若男女、国籍を問わず、仕事内容で報酬を決める」 (ある中小企業の例)
「社員が長く安心して働ける会社にする」 (ある中小企業の例)
ステップ2:等級制度と評価制度の設計
人事ポリシーから、自社に合った、等級制度、評価制度を設計します。両制度の作り方は以下の記事で解説しています。
ステップ3:賃金体系の設計
人事ポリシーから基本給と手当、賞与について検討しましょう。例えば、安定志向なら、年功給や家族手当、住宅手当。能力重視なら職能給や資格手当などを導入すると人事ポリシーに沿った賃金体系になります。
手当は少ない組み合わせにしましょう。複数の手当を設けると、賃金に占める基本給のウェイトが小さくなるため、評価による賃金のメリハリがなくなります。また、様々な手当を設けた結果、メッセージがぼやけてしまいます。
<図表⑮ 賃金体系の例>
ステップ4:賃金水準の設定
外部根拠や内部根拠を基に各等級の賃金水準を決めましょう。他者比較については、厚生労働省の賃金構造基本統計調査や採用エージェントの職種別年収ランキングや求人情報などを用いて比較することができます。
ステップ5:賃金レンジの設計
各等級の賃金水準をポリシーラインとして、人事ポリシーや残業の影響、昇格・降格の影響を考慮しながら重複型、接合型、開差型などを活用し、賃金レンジを決めましょう。
<図表⑯ 賃金レンジの例>
●非管理職間では、昇格によって賃金が上がったと実感できるように、接合型での設計。
●管理職と非管理職の等級間では、非管理職に残業をつけたときに管理職の賃金を超えてしまうことがないように開差型で設計。
●管理職間では異動や降格によって、賃金が著しく下がることがないように重複型での設計。(管理職は、組織都合で昇格、降格することもあるため)
ステップ6:昇給テーブルの設計
人事ポリシーをもとに、積み上げ型、収束型、リセット型から昇給テーブルを選択し、昇給額(減給額)を決めましょう。
同一のテーブル内でも、例えば積み上げ型のテーブル内でも、昇給と減給の幅を広げることで、メリハリを出すことは可能です。逆もまた然りです。
<図表⑰ 昇給テーブルの例>
ステップ7:賞与テーブルの設計
決算賞与は設けるのか、また個人評価、一律支給、業績連動など、どのような根拠で賞与を支払うのかを明確にしましょう。上期は個人評価、下期は会社業績と根拠を分けることも可能です。
また、赤字などの業績不振時の賞与の支払有無や、対応についても検討しておきましょう。
ステップ8:シミュレーションと調整
今の社員の等級や賃金から、新しい賃金制度に移行した場合の基本給・手当・賞与・昇給といった人件費についてシミュレーションを行いましょう。
ステップ9:制度の最終チェック
ここまでのステップで賃金制度の基本的なアウトプットが作成できました。改めて人事ポリシーに合致しているか、等級制度や評価制度との整合性がとれているかを確認しましょう。
また、手当等を積み上げた際に、等級間での賃金が逆転しないかも合わせて確認しましょう。
ステップ10:社員説明会の実施
社員説明会を実施し、人事ポリシーから賃金制度の各アウトプットについて説明を実施します。社員説明会を実施することで、制度の透明性が伝わり、社員の納得度も高まります。
4.まとめ
- 賃金制度とは「会社が社員に対して支払う賃金や賞与を、どのような考え方やルールで決めるのかを明らかにした仕組み」のこと。
- 賃金制度は、人件費コントロールや社員のエンゲージメントの向上にも影響。
- 人事ポリシーから制度を設計し、全制度において一貫性を持たせることが重要。
- 賃金制度のアウトプットは賃金体系・賃金水準・賃金レンジ・昇給テーブル・賞与テーブルの5種類。
- 社員説明会を行い透明性のある運用を行うことで、社員の高い納得度に繋がる。
本記事を参考に、自社に合った賃金制度作りに一歩踏み出してみてください。













